「家出少女の相談を受けても、すぐに“神待ち”の話にはなりません。後ろめたさからか友達の家に泊まっているなどと嘘を言うのですが、何度も会って会話を重ねていくなかで『実は……』と話が出てくる。『ベッドの下を覗いたら、首を絞める道具が見つかって怖くなって逃げた』と打ち明けられたこともあります。
なかには、『一軒家に女の子を5、6人泊めている独身男性がいて、自分もそこにいる』と打ち明ける少女もいました。女の子同士は当然、顔を合わせますし、家からは自由に出入りすることもできる。男性とは体の関係もあったそうです。我々としてはもちろん彼女たちを救い出したいですが、通報して連れ出しても、彼女たちは生活と居場所を失うだけで、また家出することになってしまう。児童保護施設などに入ったとしても、携帯も自由に使えず、いまの子どもたちには耐え難いんです。とにかく『もっと安全なところがある』と説得はして、一人暮らしがしたいならフォローするなどしています」
「Tシャツをズボンの中に入れているのが“神”のイメージ」
そしてタダ氏は“神=男”側の意識に疑問を呈した。
「先日は、29歳の男性から『ツイッターで繋がった17歳の女の子を家に呼んでいる。僕に何ができますか?』というあっけらかんとした電話が掛かってきましたが、罪を犯している感覚がまったくないのが問題。SNSで弱っている女の子を絶えず探している大人がいるんです」
そんな少女たちの弱みにつけ込む男とは、どういう人物像なのか。『神待ち少女』(双葉社)の著者で、男たちに取材を重ねた黒羽幸宏氏は、“神”の実体について、次のように語る。
「10人くらいの“神”たちに会いましたが、Tシャツをズボンの中に入れているようなイメージの、気弱でとても誘拐なんてしそうにない男が多かったですね。30~40代の独身で、営業やデスクワークの普通の会社員がほとんどだった。栃木で女児が見つかった事件でも、伊藤容疑者の姿を報道で見て、『あのとき会った男たちもこういう感じの人だったな』と思いました」