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スクラムをコントロールする堀江さんの声を聞きながら

――しかし1本目のスクラムで反則を取られてしまいました。

 ファーストスクラムでは、間合いがうまくとれずに、(スクラムを)回されてしまいました。でも、プレッシャーはさほど感じなかった。堀江(翔太)さんとも「相手は回してきているだけです。行けますね」と話していました。2本目からは安定したスクラムが組めていました。

 そして前半35分。自陣22メートル付近でのスクラムでした。試合を左右する大事な局面です。アイルランドがもちろん押してくることは、みんなも分かっていた。だから日本代表のフォワード8人全員があのスクラムに賭けていました。

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 ぼくは、まずスクラムをコントロールする堀江さんの声を聞きながら、スクラムを回させないよう相手の1番を抑え込みました。耐えたあとは、一歩ずつ一歩ずつ前に出て行った。そうしたらアイルランドのスクラムが崩れて、きれいに割れた。そしてペナルティを奪うことができたんです。

 何よりもよかったのは、8人全員が集中してスクラムを組めたこと。8人が1つの塊になって、全員の意志と力を1点に集中させて、プレッシャーをかけ、相手スクラムを分断していく……そんな理想のスクラムでした。

 ぼく自身はもともとボールを持って独走トライをするよりも、スクラムに押し勝つことに快感を覚えるタイプです。スクラムでは、相手のプレッシャーに耐えて、耐えて、バランスを取って、押せるタイミングまでぐっとがまんして、一気に押す。その点でも自分の持ち味を出せたスクラムでしたね。

思わず出た「ガッツポーズ」

――その後のガッツポースは、W杯の名シーンになりましたね。

 思わずです……。思わずガッツポーズが出てしまいました。いいスクラムを組めたとき、たまにガッツポーズが出るのですが、あんなに大きく出たのははじめてでした(苦笑)。

具選手のガッツポーズと涙を動画で伝えた「J SPORTSラグビー公式」のツイート

――それほど会心のスクラムだったんですね。具選手が目標とするプロップはいるんですか?

 スクラムという点で言えば、昨年引退したウェールズのアダム・ジョーンズです。スクラムの姿勢は決してきれいじゃないんだけど、相手をつぶしてでも押し切ろうとする。力強いプレースタイルはすごいな、と。