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ラグビーW杯で見た具智元選手の“意外な一面” アイルランド戦「ガッツポーズ」とスコットランド戦「悔し涙」の理由

具智元インタビュー #2

2019/12/24

 ラグビーW杯2019で日本代表は初の8強という結果を残し、日本中がその快挙に沸きました。代表メンバーの半数15人が海外出身だった中で、普段は温和な表情を浮かべる「グーくん」こと韓国出身(日本国籍を取得)の具智元選手のスクラムと涙を記憶している人は多いはず。具選手にとっての初めてのW杯は、一体どんなものだったのか。聞き手は『国境を越えたスクラム』の著者であるノンフィクションライターの山川徹さんです。(全3回の2回目/#1#3へ)

具智元選手(Honda HEAT)

アイルランド戦は、ラグビー人生で一番うれしかった勝利

――具選手が出場したW杯5試合のなかで、もっとも印象に残った試合は第何戦でしたか?

 2戦目のアイルランド戦です。開幕前、アイルランド代表は世界ランキング1位だったでしょう。そのアイルランドからW杯で勝てた。ぼくのラグビー人生で一番うれしかった勝利でしたね。

――アイルランド戦といえば、前半35分のプレーが印象的です。アイルランドスクラムを押し込んで反則を奪いましたね。あのプレーが試合の流れを変えました。

前半、スクラムを組む具智元(中央)ら日本代表の選手たち ©共同通信社

 アイルランドのスクラムが強いことも、押してくることも試合前から分かっていました。日本戦の前に行われたスコットランドとの試合でも、スクラムを押していましたからね。

 かといって不安はありませんでした。自分たちが厳しい練習のなかで、積み重ねてきたスクラムに自信を持っていましたから。絶対に押し勝てると考えていました。

――何か対策を立てていたのですか?

 アイルランドのスクラムは、1番の選手を前に押し出して、スクラムの左側から相手のバランスを崩そうとしてきます。そこでポイントになるのが、相手の1番とスクラムを組み合う3番です。

 

――ということは、3番の具選手が相手に組み勝たなければならなかったのですね。

 そうです。もちろんぼくが押されずに耐えることも大切なのですが、それ以上に重要だったのは、8人のフォワード全員が一緒に組む意識を持つこと。海外では、個々のパワーにまかせてバラバラにスクラムを押してくるチームが多い。身体の小さい日本代表が、パワーに対抗するには、スクラムを組む8人が結束するしかない。だからフォワードの7人の力を3番に集中させる。そこで3番が耐え切れれば、逆に押し返せると考えていました。