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 保守寄りの中央日報は「文喜相解決案を契機とし徴用賠償の葛藤を解こう」(11月28日)、中道系といわれる韓国日報では「強制徴用の解決案論争となった文喜相案、時間を設定して急がずに」(11月29日)と報じている。

 別の中道系紙記者は言う。

「文議長案は進歩・保守を越えた超党派で考えられていた案で、法制化されれば政府が動きやすくなるともみられていました。

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 案が報道された頃は、菅義偉官房長官が否定的だと伝えられましたが、その後、韓日議連が動いて、日本の好反応が伝えられると、韓国でも日本が受け入れるのであれば推進する価値があるという雰囲気になった。

 ただ、ここに来て文議長案は大法院(最高裁判所)の判決を無力化するという指摘も出始めていて、被害者側の同意をどう得るのかなどの弱点も見えてきている」

文議長の徴用工問題の解決案に抗議するデモ。ポスターの文言は「寄付金は要らない! 強制動員の謝罪賠償!」。「謝罪しろ!」「賠償しろ!」というシールが貼られている ©AFLO

原告側弁護士は「被害者を清算するための法案」と非難

 原告側の反発は強い。11月27日、国会前の記者会見で、日本製鉄などを相手にした原告側の代理人を務めるイム・ジェソン弁護士はこう怒りを露わにした。

「文議長の提案によると日本企業は法的・歴史的責任ではなく自発的な方式でカネを集め、さらにはそのカネに韓国企業と韓日の国民の寄付金まで巧妙にまぜることになる。これは決して大法院(最高裁判所)の判決の履行ではなく、加害の歴史を清算するものでもなく、外交的葛藤を生じさせる被害者を清算するための法案だ」

 当初の文議長案では徴用工被害者のほかに元慰安婦も賠償金の対象に含まれており、「和解・癒やし財団」(2015年12月の慰安婦合意により16年7月に設立され、19年7月に解散)で使われなかった残余金およそ60億ウォン(約5億4000万円)相当も新しい財団に移管されるとされていた。しかし、元慰安婦の支援団体からも「日本には賠償ではなく謝罪を求めている」と反対する声が上がったため、議長案の対象から元慰安婦を除き、新しい財団への60億ウォン投入の話も白紙化された。

 ただ、原告側も一枚岩ではないといわれる。「当事者である遺族らは訴訟にかかる費用や時間などを気にかけており、必ずしも訴訟を続けることを望んではおらず、文議長案に前向きだという話も入ってきている」と前出の別の中道系紙記者は言う。