文春オンライン

池袋は「埼玉県の植民地」から脱却できるか? 文化都市へと変貌を遂げる街の“最大の弱点”

再開発事業で渋谷・新宿に並ぶ街へと羽ばたけるか

2019/12/17
note

官民挙げての再開発事業が続々と!

 だが今、こうした池袋の負のイメージを払拭しようと官民挙げての再開発事業が続々立ち上がっている。まずは「官」である豊島区。16年4月には南池袋にあった公園を全面リニューアルし、広大な芝生広場が誕生した。さらにRACINESというお洒落カフェをオープン、人々の憩いの場を演出。これまでの暗くて汚い公園のイメージを一新した。

 さらには19年11月16日、池袋西口公園がリニューアルオープンした。池袋西口公園といえば、90年代終わりからベストセラーになった石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』シリーズの舞台。ナンパの聖地というありがたくない名前を持った公園が、屋外シアターを備えた劇場公園へと姿を変えた。公園には直径35mの「グローバルリング」と呼ばれるリングゲートが設置され、豊島区が標榜する「国際アート・カルチャー都市」の拠点となる。

池袋西口にある東京芸術劇場 ©iStock.com

東口は大型映画館が近接する“映画村”に

 東口側の整備も急ピッチですすむ。旧豊島区役所庁舎跡には、国際戦略特区に認定された再開発事業で建てられたHareza(ハレザ)池袋の3棟の建物のうち、東京建物が運営するブリリアホールなどが入居するホール棟ととしま区民センターが11月にオープンした。1フロア400坪から500坪に及ぶ大規模オフィスや、映画館TOHOシネマズが入居するハレザタワーは20年7月に運用が開始される。この街区には中池袋公園が整備され、映画やライブを楽しんだ人々が集う公園として位置付けられている。

ADVERTISEMENT

 区ではさらに、サンシャインシティ東側の旧造幣局の跡地で、20年春の完成を目指して防災公園を整備している。これらの4つの公園をつなぐ交通として「イケバス」と名付けた16人乗りの低速電気自動車の運行も開始。ななつ星in九州の車両をデザインした水戸岡鋭治氏によるかわいらしいバスがエリア内を走り回る。

©iStock.com

「民」の動きも活発だ。19年4月に駅南口で西武ホールディングスが新本社ビル「ダイヤゲート池袋」をオープン。西武線の線路をまたぐビルとして、鉄道ファンの目線をくぎ付けにしている。7月には東池袋1丁目で東急不動産が建設運営する、12スクリーン2500席のシネマコンプレックス「グランドシネマサンシャイン」などから成る商業施設「キュープラザ池袋」もオープン。ハレザタワーにできるTOHOシネマズと並んで池袋は映画村の様相を見せ始めている。そのハレザタワーの開発運営には東京建物、サンケイビルが参画する。