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なんでもかんでも“自粛”して本当に良いのか?

「あの時は僕も『当事者』でした。僕が監督した『麻雀放浪記2020』の公開が翌月に控えており、瀧さんは、重要な役で出演していたからです。深夜のニュース速報で逮捕の一報を知った時は本当に動揺し、世論の状況によっては撮り直しを求められることも覚悟しました。

 実際にその後、すでに放映がスタートしていた大河ドラマ『いだてん』では彼の出演シーンを再編集してカット、そののちに代役を立てる措置が取られましたし、5月公開の映画『居眠り磐音』は、代役をたてて撮り直すことになりました。

ピエール瀧氏 ©文藝春秋

 しかし、『麻雀放浪記』の配給会社の東映はノーカットでの公開を決定。僕は東映の多田憲之社長と一緒に会見を行うことになりました。

 僕がその席で、まず申し上げたのは瀧さんについてです。

『バカ野郎としか言いようがない。罪をきちんと反省して治療してほしい』と思いを述べ、その後にノーカットでの公開について『議論の余地なく、社会の流れで公開中止が決まっているかのように、作品に蓋をしてしまうのはよくないんじゃないかと思います。公開できないというのは、あくまで特例であってほしい』と述べました。世論のムードに流されるように、なんでもかんでも“自粛”するのは文化にとっても損失だと思ったからです。

ケースバイケースの判断が求められる

 僕の会見がどれほど影響したかは知りませんが、その後公開された『宮本から君へ』『引っ越し大名!』、来年1月公開の『ロマンスドール』といった映画では瀧さんの出演シーンはカットされず上映されることになりました。

©文藝春秋

 僕は、出演している俳優が不祥事を起こした時に『作品に罪はない』という理由ですべてをなかったことにしていいとも思っていません。たとえば、出演者が殺人を犯したとか、“被害者”を伴う凶悪事件を起こしたとすれば、放映や上映を自粛することも必要だと考えます。

 どんなテーマの作品なのか、どんな事件だったのかなどをきちんと議論して、ケースバイケースの判断が求められると思います」

出典:「文藝春秋」1月号

 そして、白石さんはなぜ大河ドラマの「撮り直し」が必要ないと考えるかを改めて説明。さらに今の日本社会に漂う「不祥事があればその内容は問わず、とにかく自粛や謹慎は当たり前だとする風潮」にも言及し、薬物などの依存症からの回復を目的としたリハビリ施設「ダルク」などの取材経験をもとに、芸能人と薬物の問題にも一石を投じるのだった。その詳細は是非「文藝春秋」1月号および「文藝春秋digital」に掲載の「沢尻エリカ『撮り直し』は必要ない」でご確認ください。

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