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2019/12/17

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

「もう老人ばっかりだよ。ヤクザの世界も」

 思えば、表経済、表社会からこぼれ落ちた世界に棲んできたヤクザは、表社会が時代とともに変わるのに合わせ、変化を続けてきた。

 占領時代は足りない警察力を補う組織として期待すらかけられたかと思えば、バブル経済期では株の仕手戦に手を出すなど経済ヤクザとして台頭。そしてバブル崩壊後、暴対法などで昔ながらの非合法活動に追いやられると、高山や司はこれまでの警察とのある種の癒着を排除し、警察官を監視するスパイ組織まで構築した。

 そんな姿勢に飽き足らず、新たな形を目指したのが神戸山口組であり、そこから派生した任侠山口組だった。だが、その試みは粉砕された、といっていいだろう。

 末端組員らの心境はさながら、資本主義社会を超えた共産主義、社会主義社会を目指して夢敗れ、元の資本主義社会に身を投じた元革命家たちのそれと共通するかもしれない。ヤクザの歴史でも、とうとう、未来が、進化が、否定されたのだ。

相次ぐ銃撃で強硬手段。山口組総本部の出入り口に「使用制限」の文書を掲示する兵庫県警の捜査員 ©共同通信社

 米ソの冷戦終結後、政治学者のフランシス・フクヤマがかつて唱えた「歴史の終わり」がヤクザにも訪れた。

 先の暴力団関係者はいう。

「もう老人ばっかりだよ。ヤクザの世界も」

 先の見えない、幹部は老人だらけの停滞したヤクザの末路。「メメント・モリ」(死を思え)の古い掟を超えて、ヤクザに新しい未来が訪れることはもうないのかもしれない。それが幸か不幸かは別にして。

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