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「忘年会楽しいじゃん」派の人たちが見ている世界

「当人同士が良ければいいんじゃないか」と思われるかもしれませんが、これは「エロ担当の女性」と「彼女に性的な言動をする人」、「それを囲んで笑っている人たち」だけの問題におさまりません。「周りも笑っていたし、これくらいなら許されるんだ」と思った人が、他の女性にも同じことをやらかしてしまうのを何度となく見てきた身としては、お酒の席での「多少のセクハラや下ネタ」文化には「もう勘弁してくれ」という気分になってしまいます。

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「忘年会スルー」は多分、世代間の価値観の違いとか、同じ金額を払っているのに若年層が割りを食うとか、いまだに横行するセクハラとか、ちょっとした不満の積み重ねで噴出した叫びみたいなものだと思います。「忘年会楽しいじゃん」という人と「忘年会に行きたくない」という人が見ている世界はおそらくまったく違っていて、前者はきっと面倒ごとを背負わされない立ち位置や環境にいるからこそ楽しめるのでしょう。

 そんな人たちが、面倒ごとを誰かに押し付けて「忘年会に来ないのはノリが悪い」とか「絆を深めるいい機会なんだから」とか言うのは、あまりにも配慮に欠けていて「それは余計に溝を深めるだけだろう」と思うのです。

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お酒の力で、仕事や会社をなんとかしようとするから…

 残業代でも出ないかぎり、本来は定められた就業時間以外の「強制参加」なんてまず論外で、飲み会は「自由参加」とした上でスケジュール的にも精神的にも「行けたら行く」くらいのスタンスが一番健全なはず。ただの「飲み会」に「酒を飲む」以外の、例えば「仕事を円滑に行う」とか「会社への忠誠心を確認する」目的なんかを乗せようとするからおかしくなるだけで。それって、会社が一番嫌がるはずの「公私混同」じゃないの。

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 思想が違う人が集まっているのだから、好き嫌いや合う合わないは出て当然だし、それを「みんなで仲良くしようね!」と強制するのもなんか違うと思うんだよなあ、お酒の力で仲良くなるんじゃなくて、仲良くなったら飲みに行けばいいんじゃないかなあ。

 そんなことを、今年の忘年会を振り返りながらひたすらに思いふけっています。