――そこからストーリーを組み立てるのにどれくらい?
小島 それは1ヶ月くらいでできますよ。
――そんな短期間で! そのときは台本を作るんですか?
小島 最初はメモですね。独立直後はパソコンもなかったんで、iPhoneに(笑)。キャラクターの設定とか、ゲームのアイデアとか、そんなのをいっぱい書いて。『メタルギア』のときも、まずは“隠れるゲーム”というアイデアがあって、映像としてもそのシーンが見えていて、そこからどう作っていこうかという発想だったんです。今回も同じですよ。最初に「繋げる」というテーマがあったから、“繋がらない”キャラクターを作って、それをどう繋げていこうか、みたいな。バランスをとりながらですけど。
自分が作っているものに時代が寄ってくる
――その「繋げる」というテーマに関してですが、「分断されたアメリカを主人公が繋ぎ直していく」という今回のストーリーは、今の時代に対するメッセージ性が強いものになっている印象があります。ただ、時間軸でいうと、2016年のE3で『デススト』の制作が発表された後にブレグジットがあり、トランプの当選がありましたよね。
小島 そうなんですよ! 僕もヒラリーが当選すると思っていたんで(笑)。そこは誤算でしたけど、ゲームとしてはいい誤算だったかな、と。自分が作っているものに時代が寄ってくるというのは、実はこれまでも何度かあったんです。もちろん、そうなってほしいわけじゃないんですけど。
――「分断された世界をどう繋ぎ直すか」という観点でいうと、例えば映画などでも、“トランプ以後”の世界にどう応答していくか、という作品が増えてきていると思います。それこそ、本作に出演しているギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』などは、その内の1つだと思うんですが、『デススト』を制作している中で、たとえばデル・トロ監督とそうしたテーマについて話をした、といったことはあるんでしょうか?
“ディレクターの孤独”を共有しあえる仲間
小島 デル・トロ監督とは、自分の作ってるもののプレゼンしかしませんね(笑)。お互い、そればっかりです。見てくれ、見てくれって。毎回そうですよ。レフン監督(※ニコラス・ウィンディング・レフン監督も『デススト』に出演している)もそうですけど。今考えてるストーリー、聞いてくれないか、とか。お互い「どう思う?」って。それは楽しいですけどね。他の人とはそういう話はできないので。
――そこでお互いに影響しあったりも?
小島 うーん、影響しあうというか……やっぱり、ディレクターって孤独なんですよ。集団でものを作ってる中でも、弱いところは見せられないし、理解者があまりいないし。僕の場合も、「繋がるゲームってなんやねん」という話だったんで(笑)。結局、同じような立場の人としか話が合わないんです。彼らは彼らで同じような思いを抱えているので。自分が「この指止まれ」をやった以上、最後まで責任を取らなきゃいけないなと。