世界的大ヒット作『メタルギアソリッド』シリーズの監督として知られる、ゲームクリエイターの小島秀夫氏。2015年12月末にコナミから独立し、コジマプロダクションを起ち上げた同氏は、2019年11月8日、待望の新作『デス・ストランディング』(以下『デススト』)をリリースした。

 舞台は、“デス・ストランディング”と呼ばれる謎の現象によって分断された世界。引き裂かれ、孤立してしまった人々のため、プレイヤーは「伝説の配達人」となり、様々な荷物を配送しながら北米大陸を再び繋ぎ合わせていく。

 本作の斬新なゲームシステム、重厚なストーリー、そして息を呑むような映像美は、発売直後から国内外を問わず大きな話題を呼んでいる。独立から4年――。56歳になった小島氏は『デススト』にどんな思いを託したのか。(全2回の1回目/#2に続く

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――『デススト』発売以後、プレイヤーからの反響が続々と届いていると思います。SNSを見ていても、一人ひとりの熱量がとても高いように感じますが、そうした反応をどのように受け止めていますか?

小島 予想外だったのは、“配達依存症”になる人が多かったことですね。僕としては、まずはストーリーを楽しんでもらって、クリアしてからもう一度遊んでもらえるように、と思って作っていたんです。でもその前から、なかなか先に進まない人がいっぱいいて。ストーリーを進めたいけど、配達が楽しいから、みたいな。そうした反応は嬉しかったですね。

『デス・ストランディング』 ©2019 Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS.

3年前から見えていた“景色”

――『デススト』は2016年6月のE3(※エレクトロニック・エンターテイメント・エキスポ。毎年ロサンゼルスで開催される世界最大のゲームの見本市)で、初めて発表されました。その当時、小島監督がお話しされていたことを振り返ってみると、今回完成した作品内容とまったく相違がないですよね。

小島 そうですね。

 

――やはり、3年前の時点で見えていたものが、今こうして具現化されたという感覚なのでしょうか?

小島 細かい部分では見えていなかったところもありますけど、そこにディテールをどんどん継ぎ足していった感じです。ぼやっと見えていたものが、徐々にはっきりしてくるというか。それは、これまでのゲームでもそうだったんですけどね。行ったり来たりして迷っていたら、3年ちょっとでモノは作れないので。