大きな反響を呼んだ、『文藝春秋』4月号の石原慎太郎元東京都知事(84)による手記。石原氏は、築地市場の豊洲移転について自身が批判の矢面に立たされている中で、小池百合子都知事(64)にも〈不作為の責任〉があり、〈豊洲行政の迷走はある部分小池知事自身にもある〉と厳しく批判した。

都議会の百条委員会で証言する石原慎太郎元都知事 ©共同通信社

 それに反論する形で、今度は、小池氏が『文藝春秋』5月号で手記を発表。新旧都知事の“誌面論争”が勃発した。

「私がいわば『負の遺産』に対して何もせず、ただ豊洲移転を放置しているのだとお考えなのでしょう。そう思いたいのでしょう。しかし、不作為であるというご批判には明確に反論したい」

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 移転先としての豊洲は〈都の総意としてあった〉というのが石原氏の主張。それについて、小池氏はこう見解を述べた。

©文藝春秋

「そもそも私はこの〈都の総意〉に疑問を抱いています。『豊洲ありき』で、それを正当化する理屈が事後的に固められ、豊洲移転へと突っ走っていったのではないか」

 また、石原氏は一貫して「豊洲は安全だ」と断言している。その上で、小池氏が〈安心と安全を混同〉していると指摘。しかし、小池氏はその批判を一蹴する。

「『安全』だけではなく、『安心』も必要だと決めた張本人は、石原さんのはずです。『豊洲の地下水を飲料水の環境基準以下にする』と都民に約束し、その後、水質のモニタリング調査を設置した流れが、何よりの証左です」

「私は石原さんが掲げた『高いハードル』をあらためて引き継ぎ、『安心・安全』を確保しようと、一つ一つのステップを重ねてきたにすぎません」

 さらに、小池氏は「築地市場、そして豊洲新市場の未来をどう考えているのか明かそうと思います」と綴り、今後の具体的なプランを詳らかにしている。

 手記の全文は『文藝春秋』5月号(4月10日発売)に掲載される。

©文藝春秋
出典元
文藝春秋

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2017年5月号

2017年4月10日 発売

定価880円(税込)