「支店ごとに忘年会があります。強制とは言われないけれど、年次が低いほど参加するのが当たり前な雰囲気です。ビンゴ大会があって、景品は予算内で新入社員が揃えます。
あと1年目は毎年何かしら“出し物”をやるのが恒例になっています。今年はお店の都合でNGになりましたが、バブリーダンスをする予定でした」
「女子社員が欅坂を踊っていましたね」
忘年会での「出し物」というのは若手社員にとって気が重いものかもしれない。別のメガバンク社員(30代後半・男性)の証言。
「新入社員・若手社員の出し物は任意でやることになっています。私の部署では今年は出し物なしになりました。時代の流れで、出し物強制が禁止になったのは5年前くらいでしょうか。その年の流行のダンスが多くて、私も当時カンナムスタイルを踊った記憶があります……」
ただ今年も若手に出し物を期待する会社も。「新人は1人1つ出し物をすることになっていて、三線を披露することになりました。昨年、グループ会社では女子社員が欅坂を踊っていましたね」(通信サービス社員/20代前半・男性)
極め付きは出し物用の企画書を「1カ月半前には準備する」という広告代理店グループ会社の若手社員(20代前半・女性)だ。
「今年はラグビー日本代表が盛り上がったので、それにちなんだダンスをします。忘年会まで1カ月半、本業とは別で打ち合わせを繰り返してきました。広い会場では縁日も企画しています。告知ポスターを社内で掲示したり大変でしたが、じつは新年会の準備がさらにヤバいんです……」
「で、忘年会に意味はある?」への20代、30代社員の本音
忘年会へのスタンスにも各社のカラーが滲み出ていることが実感される。最後に「では忘年会に意味はある?」という質問をしてみた。
「普段話さない人と年1回くらいは食事しながら話したほうがその後仕事を一緒にやる際楽になる」(メガバンク社員/30代後半・男性)
30代の中堅社員は上記のように忘年会に肯定的な意見が目立った。興味深かったのは数年前に損害保険会社から金融ベンチャーに転じた中堅社員(30代前半・男性)の意見だ。
「ベンチャーに移ってきて忘年会への“コミット感”の違いを感じます。前の会社は忘年会の日には『どう仕事を切り上げて、忘年会にコミットするか』が問われていました。でも今の会社では忘年会でも遅れるのが当たり前。仕事が最優先でしょ、みたいな。
それでも個人的には前の会社で叩き込まれた『飲み会を企画~実行する』のって結構大事な仕事だと思っています。全体から細部に渡るまでものごとを決めていき、参加する人に楽しんでもらえるよう配慮するのは仕事の基本なのかなと」
一方で20代社員からは忘年会への冷めた意見が集まった。
「人間関係のために、出席せざるを得ないと思っています」(通信サービス社員/20代前半・男性)
「あって当たり前だと思っていたので深く考えたことはないが、意味なさそうだと思います」(メガバンク/20代前半・女性)
「もはや欠席はできませんが『忘年会スルー』羨ましいです」(広告代理店グループ会社/20代前半・女性)
現在の20代社員が中堅社員になるころ、はたして社内忘年会の文化は残っているだろうか。