2年前にデビューしたパクチー天が人気メニュー
パクチー天は2年前から提供している人気メニューだ。明日葉天はサクッとしてなかなかうまい。春菊天は程よくカットされて揚げられている。
これらの中からお好みで2~3点トッピングとして注文すれば、オリジナルな「みどりのそば」の完成である。
4月の晴れた温かい日の朝に「稲浪」を訪ね、早速、パクチー天、明日葉天、春菊天をかけそば(280円)にのせた「みどりのそば」(640円)を注文してみた。
「みどり一色だね」大将もびっくりしている。
大将は70代半ば。以前は寿司屋や惣菜屋で働いていた。天ぷらや寿司・海苔巻などを作るのはお手の物だ。都内のそば屋などに随分卸していたそうだ。リタイアして稲浪を開業したわけである。
ほどなく登場したのがこの一杯だ。
パクチー天、明日葉天、春菊天の一面のみどり色が目に飛び込んできた。それぞれの彩りが微妙に異なり、寄り添うように散らばっている。なんとなく食べる癒し系の雰囲気だ。
「明日葉のくき」まである、薬味のラインナップがすごい!
さて、「みどりのそば」を食べるのはまだはやい。
カウンターの左をみると、タッパーウエアーに入った薬味がたくさん並んでいる。青唐辛子、明日葉のくき、ショウガ、ショウガを乾燥して粉末にしたもの、紅ショウガ、唐辛子の輪切りなど。こんなにたくさんの楽しい薬味が置いてあるお店はみたことがない。それらをお好みで加えて行く。
稲浪名物の太いかんぴょう巻(60円)も注文して、ようやく着席。いただくことにしよう。つゆをまずひと口。
つゆはやや薄めの色合いで、出汁が程よく利いている。かつお節や西洋野菜でとった出汁だそうだ。麺は茹で麺だがコシもしっかり。そして、みどりの天ぷらたちを食べて行く。パクチー天は生で食べるよりも香ばしい味がして、そばの天ぷらとしてはなかなかよい。明日葉天はサクッとうまいし、春菊天もつゆに溶けて香りがよい。後からのせた菜の花の色が鮮やかだ。
みどりの香りに余韻を与えるつゆ
みどりの野菜の天ぷらたちの香りがそれぞれ微妙に異なり、かつ繊細なので驚いた。つゆが香りに余韻を与えているのかもしれない。
そして、萌葱色のネギ、深緑色のワカメ、黄緑色の明日葉のくき、青唐辛子の辛み、淡黄色のショウガ、これらの薬味がアクセントになって、多彩な色と香りを織りなしている。モネの睡蓮のようだ。
「うちは天ぷらはあまり揚げないから、午前中にはなくなっちゃうことが多いんだよね」と大将はにっこり。
パクチー天も次のお客さんで終わりを告げていた。
店を離れて歩いていても、爽やかな食後感に包まれていた。
そばにみどりの野菜はよく似合う。ゲソ天もアジ天もソーセージ天も、コロッケもオススメだが、たまにはみどりの野菜の天ぷらたちをいただくのも楽しい記憶になるに違いない。
写真=pinsuke
稲浪
東京都新宿区新小川町5-8
営業時間
6:00~17:00(月~金)
定休日 土日祝