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「マイアミの奇跡」の32年前に起きていた“東京の奇跡”

 極上の“おもてなし”で力を蓄えた川淵さんらサッカー日本代表チームは、あまり知られていないが、日本サッカー史に残る歴史的快挙を達成している。予選リーグで優勝候補だった南米の強豪アルゼンチンに3−2で勝ったのだ。96年のアトランタ五輪で男子サッカーが予選リーグでブラジルを破った時には「マイアミの奇跡」と呼ばれたが、実はその32年前に「東京の奇跡」が起こっていたのだ。

アルゼンチン戦後の川淵氏(左から3人目) ©共同通信社

「僕はその試合で1得点、1アシストの大活躍(笑)。自分の得点シーンがニュースで流れるかと思って楽しみにしていたら、同じ日に行われた女子バレーの韓国戦のことばかり取り上げられて、サッカーはサの字も出なかった」

 川淵さんらが中心となってJリーグを発足させたのは1993年。当時サッカーは知る人ぞ知るマイナースポーツだったのだ。

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川淵三郎氏 ©文藝春秋

「あの五輪から55年が経ち、来年にはまた東京でオリンピックが開かれるというと感慨深いですね。サッカーはやっぱり男女ともメダルをなんとしても狙ってほしいな」

 東京五輪・パラリンピックの選手村が開村するのは2020年7月14日。開会式は7月24日だ。世界中から集まった選手たちが一世一代の舞台で輝くために、川淵さんら前回大会のオリンピアンも全力を尽くす。

出典:「文藝春秋」1月号

 川淵三郎さん、君原健二さん、谷田絹子さんによる鼎談「選手村のビフテキはうまかった」は「文藝春秋」1月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。