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 また相続時に、親世帯の持ち分がすべて一緒に暮らす子世帯に相続されればよいのだが、親世帯の部分が、兄弟姉妹などの持ち分として相続されてしまうと、何を行うにしてもいちいち兄弟姉妹の同意を得ていかなければならないという、ますますの「やっかい」を背負い込むことになる。

「貸しにくく」て「売りにくい」のが二世帯住宅

 幸いなことに一緒に住んでいた子世帯のみが単独で相続できた場合でも、孫の世帯がさらに引き継いでくれないかぎり、後々にまた別の「やっかい」が降りかかってくる。

 自分たちが老人健康施設に入居したりして、家が必要ではなくなったときの活用・処分方法だ。

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「貸す」場合でも「売る」場合でも、そもそも二世帯住宅に絞って中古住宅を探している人はほとんどいない。そうなると、この無駄に広くて、余計な設備(複数のキッチン、浴室、トイレなど)がついた物件は「貸しにくく」て「売りにくい」ということになる。

“出口”を考えるならば、二世帯住宅という選択肢はほとんどない

 もしこうした「やっかい」をなるべく少なくしたいのなら、完全に別棟にするしかない。また、家の広さを利用して、若い人たちのシェアハウスなどとして活用する方法もあるかもしれない。だが、シェアハウスは何も2つ以上のキッチンや浴室を必要としているのではなく、むしろ、個室がたくさんとれるような家がニーズには適合する。

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 いずれにしても、二世帯住宅は自分たちの家族だけで複数世代にわたって使うには適しているのかもしれないが、投資案件として、運用する、出口で売却して利益を出すといったメリットはほとんど期待できない。

 二世帯住宅の便利さだけに心を奪われて、安易に建てたり買ったりするのではなく、相続やその後の賃貸、売却までの出口を考えるのならば、二世帯住宅という選択肢はほとんどないというのが現実なのだ。