20周年を迎えた日中韓首脳会談は、12月24日午前に中国四川省成都市で行われた(安倍晋三首相、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領)。これに先立つ23日には、習近平国家主席との日中首脳会談と中韓首脳会談も開かれた。また、注目された日韓首脳会談は日中韓首脳会談直後の24日午後、同じく成都市で行われた。

 各首脳の発言をもとに、これら四つの会談を米中覇権争いの視点から見てみたい。なぜなら、出席こそしていないものの、米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩党委員長も「影の参加者」と言えるからだ。

和やかな表情を見せる各国首脳 ©AFLO

米国を牽制しながらも「香港問題」には踏み込まなかった中国

 米国との貿易協議で第1段階の合意に達した(12月13日)ことをうけ、トランプ政権への中国の非難は抑制された感がある。李首相は「自由貿易の維持は中国の考え方であり、世界の平和にとっても有益であると考えている」と強調し、アメリカを牽制したものの、トランプ氏が香港人権・民主主義法案に署名したことについては言及しなかった。

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 また、李氏は「朝鮮半島の非核化と北東アジアの持続的平和を保っていくことは3カ国の共通目標で、対話と交渉が問題解決の唯一有効な方法だ」と主張し、米朝間の対話継続を促す方針を表明した。

中国の李克強首相 ©AFLO

 日米韓の立場からは、中国は北朝鮮の挑発的な動きを抑制しうる唯一の国と見られている。中国にとって、それは「対日米韓交渉カード」になる一方、「厄介で履行困難な役目」にもなりうる。北朝鮮は、「今月末まで米国の勇断を待つ」、「12月下旬重大問題決定」などと米国に対する挑発を繰り返しており、年末年始に中国の「力量」が早速試される格好だ。

 中国としては、首脳会談を通じ、日韓に対する影響・指導力を米国に誇示したいはずだ。それが米国との覇権争いにプラスに作用するのは言うまでもない。李氏が「政治的な相互信頼を増進させ、地域の安全・安定を維持し、当面表れた経済の下振れの圧力に対応し、日中韓3カ国の未来を切り開いていきたい」と述べ、3カ国の結束を呼び掛けたのは、そのような意図が込められている。

 ただ、これに対する日韓の対中政策には温度差がある。これについては後述する。