「TWICEが我が国を捨てて日本で大金を儲ける」
韓国メディアによると青年はTWICEのファンコミュニティサイトでも居場所をたずね回り、自分がナヨンの恋人であるかのような発言もあったという。本人は動画で「危害を加えるつもりはない」「自分は悪い人間ではない」と釈明するが、その思いつめた言動に危険を感じるのは常識的な反応だろう。
TWICEがこうしたファンの脅威に晒されるのは、初めてではない。2017年6月には、メンバーのミナが韓国の悪名高い右派コミュニティサイト「イルベ」で殺害予告を受けたことがある。投稿者は自分の手首に包丁を添える写真とミナの顔写真を並べ、「殺しに行く」などとコメントした。ただし騒ぎが大きくなると「注目を集めたかった」などとする手書きの謝罪文を投稿し、事態をうやむやにしている。
さらにその翌月には、同じくイルベで塩酸テロを予告する者が現れた。TWICEの日本進出に憤慨したというこの投稿者は、「TWICEが我が国を捨てて日本で大金を儲ける」というタイトルとともに、日本のTWICEファンの画像を投稿。そして「二度と韓国に来るな。空港で塩酸10リットル待機中だ」などと書き込んだ。この件ではJYPEの告訴を経て、20代前半の男性が摘発されている。
韓国アイドルを苦しめる“私生ファン”
アイドルがストーカーまがいのファンに悩まされるのも、韓国芸能界では日常茶飯事だ。韓国ではこうした芸能人の私生活につきまとうファンを、「私生ファン(サセンペン)」と呼ぶ。社会問題にまで発展したのは10年ほど前だが、その後も一部の執拗なファンがアイドルを悩ませ続けてきた。
私生ファンを巡るホラーじみたエピソードは、枚挙にいとまがない。典型的な行動の1つは、アイドル個人の携帯番号やメッセンジャーアプリのIDを突き止めて連絡してくることだ。今年6月には防弾少年団=BTSのジョングクがネットの生配信中、私生ファンから携帯電話に着信が来て表情が凍りつくひと幕もあった。
またアイドルが飛行機で移動する際、座席番号を調べ上げて隣や前後の座席を予約するというのも定番だ。12月15日にはやはりBTSのVが、「BTSがチャーター機を利用するのは私生ファンが原因」と告白してメディアの注目を集めた。
さらに自宅を突き止めて待ち伏せするばかりか、留守中に侵入することもしばしばだという。2014年には、男性グループEXOメンバーの宿所から入手した下着や髪の毛を売るというSNSの書き込みが、ファンや関係者を震え上がらせた。今年6月にも別のEXOメンバーがプライベートな作業室へ侵入を試みた者がいると警察に訴え、20代の中国人女性2人が取り調べを受けている。
2006年には東方神起のユンホが、ファンを名乗る何者かが差し入れた接着剤入りドリンクを飲んで応急処置された例もある。また私生ファンを乗せたタクシーとアイドルの移動車両が接触する事故も、これまでたびたび起きている。
今回のTWICEを巡るストーカー騒ぎが、何ごともなく終わることを願うばかりだ。