今年のM-1がめちゃめちゃ面白くて、リアルタイムでも見たのに、その後も何度も見てしまっています。かまいたちがサイコパス漫才の最高峰を披露して、ぺこぱは漫才の概念を覆す発明を生み出し、しかしそれを上回るミルクボーイのコーンフレーク。ボケの手数がとかアドリブはNGとかM-1で勝つ漫才はこれだ!みたいな訳知り顔の風説を「おもしろいが勝ち」というシンプルなルールが吹き飛ばす、痛快さ。ちなみにぺこぱの松陰寺さんはZOZOマリンのライトスタンドで跳んでる系ロッテファン、ミルクボーイの内海さんは大天使里崎を彷彿とさせ、かまいたちの狂気は突然9回裏に6点差をひっくり返すロッテ野球そのものです。来年はロッテの年となるでしょう。

ミルクボーイの優勝に終わった2019年のM-1 ©M-1グランプリ事務局

 いや、しかしやっぱり狂気といえば、M-1の大天使、上沼恵美子。狂ってる。恵美子は今年も狂っていました。昨年、M-1史上最年少優勝を果たした霜降り明星、その快挙をもかすませた例の“更年期のオバハン”事件、いや事変(feat.とろサーモン久保田)「今年は審査員を降りるのでは」と囁かれながら、しかし不死鳥のようにテレ朝に蘇った上沼恵美子。11月に発売したニューシングル『時のしおり』を携えて、2019年もまた審査員席の一番右端に座ったのでした。

2015年のシングル「あかんたれ」発売イベントで歌う上沼恵美子

「和牛には悪いんだけど……」突然、牙を向く恵美子

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 開口一番の「無事更年期障害も乗り越えまして」、講評中の「あらこんなところにこんなものが(自分のCD宣伝する)」など色々ありましたが、今年最も上沼恵美子が狂ったのは、「からし蓮根のネタ終わりのコメント」で、おそらく異論はないかと思われます。初々しい若手漫才師に「ファンです」とうっとり見せた後、恵美子が突然牙をむいたのは、この2組前、敗者復活で勝ち上がり暫定ボックス2位の席に座る和牛にでした。菩薩out般若in。「和牛には悪いんだけど、去年もその前も私は和牛にチャンピオン入れました。でもそういう横柄な感じが、和牛に対しては感じました。だからちょっと厳しい意見も」