文在寅「共に民主党」候補を猛追していた「国民の党」の安哲秀候補の支持率が選挙戦中盤に入り、失速している。
いずれの世論調査でも文候補との差は10ポイント以上まで開いた。
世論調査会社関係者が言う。
「大統領選候補者に確定したばかりの4月上旬は、安候補は文候補を猛追したが、その後は目立って訴えるものがなかった。その間に発言の意図が誤解されたり、ネガティブキャンペーンに巻き込まれ、またその対応の稚拙さから保守層の支持が揺らいだ」
安候補の妻に向けられた疑惑
支持率が目立って下がったのは女性、そして絶大な人気のあった50~60代と保守層からだ。
女性からは、安候補が発言した「幼稚園増設制限」を巡り、「幼稚園を増やしても足りないのが現実なのに母親の気持ちをまったく分かっていない」(30代主婦)と反発する声が上がっていた。
また、安候補夫人で、ソウル大学医学部教授の金美暻氏のパワハラ行為と「1+1採用疑惑」が浮上。
「パワハラ行為」は、安候補が国会議員(4月17日議員辞職)時代に夫人が議員補佐官を私用で使ったとされ、この件では安候補ではなく夫人が直接、謝罪している。
「1+1採用疑惑」のほうは安候補がソウル大学教授に就任した際、夫人も教授に登用するよう条件をつけたとされるもので、安候補はこれについては否定しているが、これによっていったん民心が離れたと見られている。
文氏を支持する20代の5割が浮動層
50~60代、そして保守層離れは、「50~60代は安候補が保守票獲得のため政策が曖昧になったことや、保守層離れは安候補が本当に保守層の味方になってくれるかどうかまだ確信が持てていないため」と韓国全国紙記者は分析する。
「安候補の支持率が落ちたのと反対に、保守派の自由韓国党から出馬した洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補の支持率が上昇している。これは安候補への支持が洪候補に流れたためで、同時に『状況により支持者を変えることもある』という浮動層が以前の選挙よりも多い。
これは、決め手となる候補者がいないことの表われで、この層が最終的に誰に投票するかは今のところ見当もつかない。各種調査の客観的な数字を見ると文候補の勝ちになるのではと考えられていますが、ある世論調査では文候補を圧倒的に支持する20代の6割が支持者を変えることもあると答えていて最後まで何が起きるか分からない」
文候補キャンプの関係者も、「気を緩めるなと言われていて、まだまだ緊張を保っている」と話し、安候補側は、「世論調査の数字は気にしていない」と語っていた。
別の全国紙記者はこんな見立ても。
「安候補と保守派の候補者が手を組むか、保守派候補が完走せず自然に一本化となるかが鍵となっていましたが、安候補と保守派候補は一本化はしないとそれぞれ強く否定した。文候補も単一候補を阻止すべく『単一候補は積弊(朴前政権)勢力の連帯』と牽制しました。どうなるかは読めませんが、事前投票前の3日に公表される最後の世論調査で逆転できないと安候補は厳しいかもしれない・・・・・・」