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区間賞の中でたった1人、ナイキ以外の選手がいた

 では、今大会で各選手が履いていたシューズの一覧も見てみましょう。区間賞をとった選手10人中、実に9人がヴェイパーフライを履いていました。

第96回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合1位〜10位 往路」(「EKIDEN News」調べ)
第96回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合1位〜10位 復路」(「EKIDEN News」調べ)
第96回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合11位〜21位 往路」(「EKIDEN News」調べ)
第96回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合11位〜21位 復路」(「EKIDEN News」調べ)

 80%以上の選手がヴェイパーフライを履いたのですから、区間賞を独占するのは当然の結果と言えます。けれども、ここに唯一切り込んだ靴があります。10区で区間新記録を出した創価大の嶋津雄大選手が履いていた、ミズノのプロトタイプモデルです。この靴はまだ市販されていないため、全容は分かりませんが、おそらくミズノが開発しているカーボンプレート入りのモデルでしょう。

真っ白なミズノを履いて10区区間新を出した創価大・嶋津選手 ©文藝春秋

 今回はミズノだけでなく、ニューバランス、アディダス、アシックスも、カーボンプレート入りと思われるプロトタイプを投入してきました。

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 そんななか、今年新たに加わったのが、昨年11月にランニングシューズに本格参入したばかりのデサントの「GENTEN」です。これまで僕は、シューズ革命の争点は「厚底」vs「薄底」ではなく、「カーボンプレート」のありなしと言ってきましたが、この靴は薄底×カーボンプレートがキーワードになっています。今回の箱根では中央大で8区を走った矢野郁人選手が履きましたが、どんな広がり方をするか楽しみですね。

 他のメーカーが続々とカーボンプレートのシューズを開発していますが、ナイキには日本だけでなく、世界中のランナーから着用時のデータが集まってきますから、すぐに追いつくのはなかなか難しいでしょう。来年はヴェイパーフライがさらに着用率を伸ばすのか、それとも他メーカーの反撃が見られるのか。今から楽しみです。

構成/林田順子(モオ)