脚本家の坂元裕二は1967年5月12日生まれで、きょうでちょうど50歳を迎えた。デビュー作は19歳にして第1回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した『GIRL-LONG-SKIRT~嫌いになってもいいですか~』(1987年)。出世作で同年代の鈴木保奈美や織田裕二、江口洋介らが出演した『東京ラブストーリー』(1991年)の放送の時点でも、まだ23歳という若さだった。
ここ10年は、いじめ問題をとりあげた『わたしたちの教科書』(2007年。向田邦子賞受賞)、母性をテーマにした社会派サスペンス『Mother』(2010年)、戦後の名宰相・吉田茂を渡辺謙が演じた『負けて、勝つ』(2012年)、シングルマザーを主人公にした『Woman』(2013年)、アダルトビデオ業界を舞台とした『モザイクジャパン』(2014年)、女性の社会進出をテーマとした『問題のあるレストラン』(2015年)など幅広いテーマによる意欲作を次々と手がけてきた。
今年放送された『カルテット』では、社会に受け入れられず、もはやそんなに若くない男女の奇妙な共同生活を描いた。同作はサスペンスの要素も取り入れた意表を突く展開、変なこだわりを高橋一生がとうとうと語る長ゼリフなどが多くのドラマファンの心をつかみ、話題を呼ぶ。同作の完成度の高さは、50歳を目前にした坂元の新境地、あるいは意気込みを感じさせるに十分だ。