朝のワイドショーで「日本の(世界の)朝ごはん」みたいなのを紹介するのはよくあるけどそれは「土曜日」に限ったことだと思いこんでいた。ほれ、よく土曜の朝の、事件とか扱わないノンキなワイドショーで「世界の朝ごはん」とかやってるじゃないですか。やっぱり「これから出勤でバタバタしてる時にヒトんちの朝食なんて見てても面白くもない」って気持ちが基本、あるから。平日朝のワイドショーでヨネスケが出てくるのは出勤時間よりずっと遅い9時過ぎ。おまけに紹介するのは「晩ごはん」。確実に「家にいるヒト向け」のノンキコーナーである。
なのにNHKはバタバタの極み時間午前7時台に「朝ごはんの現場」なるコーナーをぶつけてきた。エッこれを毎日やるのか!と思ったけど一週間限定企画でなんとなくホッとした。朝の忙しい時間にヨソ様の朝飯など見てられるか。……それがやってるとつい見てしまいますね。在日シリア人一家の朝食はうまそうだった。百均で売ってるようなタライでパンをこねてるとことか、生活感満載。でもこの家族は朝なのにゆったりしてるなあ。前日の昼からこねておいたパン種を、朝焼いて食べるとか。うちじゃムリ。
それよりも、猫で有名な田代島の朝ごはんは面白かった。島のおじさんやおばさんが猫にやる朝ごはん紹介してるんだもん。ごはんじゃなくてエサ。でも、ふだんうちでつくるより豪華そうに見えるチャーハンとか、漁師のおじさんがさばいたマグロの赤身のブツ切りとか、人間よりいいもの食べていた。
で、この漁師のおじさんは、港で可愛がっていた猫10匹が震災の津波でみんないなくなってさびしい思いをしていた(おじさんは一人暮らしである)ら、ふとやってきた黒猫。そいつを「ふくろう」と名付けて可愛がってるのだ。おじさんの朝ごはんはおかゆ(何も入ってなくて白いだけ)でふくろうの朝ごはんがマグロブツ。漁に出るおじさんの軽トラを毎日小走りに見送るふくろう。
と、朝っぱらからぐっとくるこんなコーナーをどうして平日に流すのかNHK。さらにこのコーナー、一日ごとに有名声優が語りを担当したらしいが、朝のバタバタ時にはそんなことは何もわからない。ただ目の端にちらっと見て心にひっかかってすぐ忘れる。……そういうところにこんな手間かけたコーナーをつくる。羽織の裏のガラに凝る江戸の粋みたいなもん?
▼『おはよう日本』
NHK総合 毎日 4:30~8:00(平日)