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駅ならではの売場作り

 駅ナカ書店は、通勤通学やお出かけ途中などで、短時間立ち寄るお客様が多い。同じ西国分寺でも、駅前の隆文堂で主婦や地元のお年寄りがゆったり本を選ぶのとは対照的だ。細切れ時間に読めるアンソロジーやショートショート集などのコーナー、さっと選んで買っていけるように絞り込んだ新刊小説やコミックス、買い逃しを防ぐためにPOPや試し読みを付けたオススメ本、いずれも電車通勤者を意識した売場作りだ。

電車通勤者を意識したコーナー。
オススメコーナー。コミックスには試し読みを添える。

 便利で気軽な本屋さんというだけではない。ちょっと奥まった売場まで来てくれた人に、ガッカリされない、付加価値のある売場作りを工夫している。ちょっと硬めの人文書や知る人ぞ知るコミックス、気軽に手に取れる写真集や詩集など、決して広くない売場だが、あちこちにアクセントがある。フェアやコーナーには、スタッフがコメントを寄せたり選書に参加したり、手描きイラストや切り絵のPOPが添えられているものもある。けっして大きな売場ではないが、工夫と愛情のこもった展開の評価は高く、この店のためにとイラスト入りのサイン色紙を描き下ろしてくれるマンガ家さんもいるという。

 ふだん通勤途中に急ぎ足で立ち寄っていたお客様が、休日にのぞいてみると、気になる本を見つけてつい手を伸ばすような売場になっている。秋にむかうこの季節、駅ナカで買った本を手に、史跡公園や素敵なカフェのある駅周辺を歩いてみてもよいだろう。

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季節を感じる棚。歴史を感じる遊歩道を歩きながら、ドングリを探すのも楽しい。

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