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【石湯】真田信繁(幸村)の隠し湯

 

 池波正太郎作の大河小説『真田太平記』には信州最古の温泉「別所温泉」が物語の重要な場面としてしばしば登場する。小説の中で、若き信繁(幸村)が真田配下の女忍者お江(こう)と出会い、結ばれた温泉がこの石湯だ。真田氏は忍者を情報収集や調略などによく使っていたので、それをモチーフにしたのだろう。実際に、別所温泉は真田一族が英気を養い、傷をいやしたとされる湯治場だ。

玄関先には池波正太郎氏揮毫の「真田幸村公 隠しの湯」の標石が。その下から湧き出る温泉は飲むことができる

 現在の石湯は小さな内湯が1つあるだけの、4人も入ればいっぱいになる素朴な温泉だが、天然の岩間をそのまま浴槽にしており、風情がある。150円という入浴料も魅力。

 石湯のある別所温泉は周辺に温泉宿が建ち並ぶひなびた温泉街。石湯の他にも慈覚大師ゆかりの湯「大師湯」や木曽義仲ゆかりの葵の湯が北条氏ゆかりの湯ともなった「大湯」など外湯めぐりも楽しめる。上田城や真田の郷からは車で20~30分と少し離れているが、真田氏ゆかりの地をめぐった後に真田昌幸や信繁(幸村)が浸かったかもしれない温泉に浸かりながら、真田三代の生き様に思いを巡らせてみてはいかがだろう。きっと極楽気分に浸れるはずだ。 

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石湯
所在地:長野県上田市別所温泉1641
営業時間:6:00~22:00(6~9月は5:30~22:00)
定休日:第2・第4火曜日
入浴料:150円
※ボディソープやシャンプーは設置されていないので風呂道具一式は持参のこと。

 

 ちなみに広々とした湯船でゆったりと温泉に浸かりたいなら「あいそめの湯」がおすすめ。上田の町並みを見下ろせる露天風呂や足湯や岩盤浴、休憩できる大広間もある。ボディソープやシャンプーも完備。

あいそめの湯
所在地:長野県上田市別所温泉58
営業時間:10:00~22:00
定休日:毎月第2・第4月曜日(第2・第4月曜日が祝日の場合は翌日が休館日)
入浴料:
  大人:500円
  小中学生:250円

 今回、この連載の取材では上田市役所観光課内「上田観光コンベンション協会」の歴史ガイドに協力いただいた。上田市に点在する真田氏ゆかりの地をめぐりたいなら当協会にガイドを申し込むことをお勧めする。コースはバリエーションに富んでおり、料金も1000円~2000円と手頃。各ポイントで上田や真田氏の歴史に詳しいボランティアガイドが丁寧に解説してくれるので、ガイドブック片手に1人でめぐるより、満足度は断然高いだろう。

●申込先・問い合わせ:
「上田観光ボランティアガイドの会」事務局(上田観光コンベンション協会内)
TEL:0268-23-5408(平日9:00~17:00)
FAX:0268-23-7355
E-mail:ucb@ueda-cb.gr.jp
※モデルコース、料金、注意事項等の詳細はこちら→「上田観光ボランティアガイドの会

真田三代 上 (文春文庫)

火坂 雅志(著)

文藝春秋
2014年11月7日 発売

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