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中国版の「ドヤ街」はネトゲ廃人の巣窟? 三和ゴッドの暮らしを追う

イノベーション都市・深センの深すぎる闇

2017/06/01

genre : ニュース, 国際

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ワーキング・プアの「蟻族」と「三和ゴッド」は何が違うのか?

 中国では10年ほど前から、都市郊外の狭い住宅に多人数で居住するワーキング・プアの若者たちが「アリ族(蟻族)」と呼ばれ、社会問題として注目されてきた。だが、中国の社会において、三和ゴッドたちはこのアリ族とは異なるものだと見られているようだ。

「アリ族の場合は現状に不満があり、もっとよい人生を得ることを目標に努力しています。しかし三和ゴッドの場合、アリ族以上に貧しいものの現状への不満はあまりなく、人生の目標も持たないのですが毎日をそれなりにエンジョイしている。そこが大きな違いでしょう」(大学院生 29歳男性)

 中国の貧富の格差は極度に拡大しており、すでに個人の努力だけで社会的な階層を逆転できる時代ではなくなっている。だが、生活コストが非常に安い場所に住み、3日おきに働く以外はネトゲで遊んだとしても、それなりに楽しく暇つぶしができてしまう―――。明らかに不健全極まりない社会のありかただが、いっぽうで不満の声は盛り上がらない。

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 三和ゴッドたちの出現は、インターネットの大衆化と低価格化がもたらした、いかにも昨今の中国らしい現象であると考えるべきだろう。

中国の大手サイト『バイドゥ』の三和ゴッドコミュニティに投稿されている画像。撮影場所や日時は不明だが、三和ゴッドたちはまさにこのようにして日々を送っているようだ。
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