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中国版の「ドヤ街」はネトゲ廃人の巣窟? 三和ゴッドの暮らしを追う

イノベーション都市・深センの深すぎる闇

2017/06/01

genre : ニュース, 国際

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ゴッドたちのエッジィすぎる日常

 上記の『新浪遊戯』の記事から、ある三和ゴッドの素顔を追ってみよう。

 広西チワン族自治区の農村出身の文華(仮名)は現在31歳。三和にやってきて5年目だ。中学を卒業してから、村の親戚とともに出稼ぎに出て工場で働くうちに、ネットカフェでのオンラインゲームにハマり、3年間で1000~2000元を課金(彼らの収入水準からすれば、日本の物価感覚に置き換えて10万円以上を使った感じだろうか)。やがてもっとゲームがやりたくなり、ネットカフェ代や生活コストが安い三和へ流れ着いた。

“三和に来た1年目、文華は探せる仕事はだいたいすべてやった。店員・宅配便配達・城管(地方政府が雇う治安要員)・ガードマン・工場の臨時工といったところだ。

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しかし2年目になると、彼は当日に仕事が終わり即金で報酬をもらえる日雇い仕事だけを望んでやるようになった。福利厚生や保険がなく、今日の仕事が終われば明日の保証もないのだが、三和の住民たちは日雇い仕事を喜ぶ。彼らは口をそろえて「日雇仕事で1日働けば、3日遊べる」と言うのだ”

1日の稼ぎ約100元(1600円)はネトゲ、バクチ、「女神」に消える

 三和一帯の物価は現代中国としては異常なほど安く、都市市民が暮らす深セン市中心部の5分の1~10分の1程度である。例えば、ヤミ営業の安宿が1泊8~30元(約130~500円)、同じくヤミ営業のネットカフェは1時間1~1.5元(約16~24円)、食事は1食5~10元(約80~160円)ほどでまかなえるという。

 いっぽうで三和ゴッドたちの日雇い労働の稼ぎは、1日あたりおおむね100元(約1600円)前後となる。確かに、1日働けば3日くらいはネトゲ三昧の暮らしを送ることが可能だろう。ヤミ営業の安宿やネットカフェに滞在して暮らすだけならば、もはやIDカードは不要というわけで、1枚100元くらいで売ってしまう人も多いようだ。ただし、代価がニセ札で支払われることも多く、初心者がしばしばカモにされているという。

 ほか、三和ゴッドたちの娯楽はネトゲだけではない。街頭ではしばしばアナログなバクチが盛り上がっているほか、『網易訂閲』の記事によればストリートガールもかなり多いという。同記事によれば、やはり三和の物価水準を反映しているのか、彼女らが要求する「1回15分間」のお楽しみの対価はわずか50元(約800円)。なかには「三和の女神」の二つ名を持つ紅姐(紅ねえさん)という名物女性までおり、三和ゴッドたちは彼女の携帯番号を知っていることが自慢になるのだそうである。

同じく中国のネットニュースより。「三和の女神・紅ねえさん」とされる人物の写真のうちの1枚。常にファンがとりまいている。