弟弟子への度重なる暴力行為が原因で、相撲界を追われることになった北青鵬。その周辺では盗癖の疑惑も絶えなかった。師匠である元横綱・白鵬こと宮城野親方でさえ御することのできなかった角界の問題児はなぜ道を誤ったのか――(#1からつづく)。
現役最長の身長204センチ、体重182キロと恵まれた体格を誇り、将来を期待されていた北青鵬。現在の宮城野部屋は、ハワイ出身の元関脇・高見山(元東関親方)が墨田区に構えた家屋を間借りしており、北青鵬に割り当てられた個室は、かつて横綱・曙が使っていた部屋だ。北青鵬は、同じ2メートル越えの長身力士として“次世代の曙”とも言われた。
大横綱に“青田買い”された有望株
モンゴル出身ながら日本語を完璧に操り、本名はアリューナー・ダワーニンジ。ダウンタウンや有村架純の大ファンで、好きなアニメは「ワンピース」。宮城野親方と師弟の関係は古く、接点は北青鵬の小学生時代に遡る。
「北青鵬は、北海道に語学留学していた母親、父親を追って5歳で来日。小1の時、札幌巡業に来た現役時代の白鵬と出会い、相撲を勧められたのがきっかけで力士を志している。
現在、相撲協会では、外国出身力士を1部屋に1人と定めているが、北青鵬は日本在住歴が10年以上のため、『北海道札幌市出身』の力士として土俵に上がっていた。白鵬からすれば“外国人枠”を埋めずに有望株を手に入れることができた形です」(宮城野部屋関係者)
大横綱に“青田買い”された北青鵬は、その後ろ盾とツテで、中学生になると、北海道から鳥取県に“相撲留学”。相撲に力を入れている鳥取市立西中を経て、角界に力士を多く輩出している鳥取城北高校に進んだ。
だが、その頃から北青鵬の“裏の顔”が、危うい片鱗を覗かせていたのだ。
「いつか、やらかすだろうと思っていました。相撲部屋に入れば更生するんじゃないかと、少し期待していましたが、ダメでしたね」