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あの政治家のように狂気すら発する政策を……

 小泉純一郎である。

 お父さんだ。若い頃からずっと郵政民営化を言い続けていた。世の中がいくらキョトンとしても本人だけは頑固だった。少数派の期間がかなり長かったが信念と狂気は変化しなかった。よくも悪くも。

小泉純一郎氏 ©文藝春秋

 それに比べると進次郎は正反対。喋り方はお父さんに似せているからしばらく世間は「息子もズバズバ言う」と思い込んでいた。見事な処世術だったが、大臣となってよく見たら「あれ、結局何をしたいんだっけ」と皆が気づき始めた。

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 今後は父親のように狂気すら発する政策を見つけるしかない。

 そう、それがまず「国会審議中にマイボトルでコーヒーを飲んではいけないのか」だったのである。

 その延長線上に「政治家の育休」があるのだと思う。つまり、自分に風が吹く絶対正義の案件を見つける嗅覚を発揮したのだ。大臣になってようやく。

「0歳からの活動報告会」で「新米パパになるので皆さんのご指導をいただきたい」と語った  ©文藝春秋

 マイボトルの件はスケールが小さいし、育休宣言はパフォーマンスという人もいる。しかし先述したように小泉進次郎の武器が「永田町とは異なる世間の空気を代弁する」のだとすれば、それをやるしかないのだろう。

 そう思って今回の「育休」記事を読みなおしてみると、

《小泉進次郎環境相は「育児休業」取得を決めた理由として、真っ先に「空気」を変えることを挙げた。》(東京新聞)とあった。

 やはり自分の得意技はわかっていたのだ。空気。

 本当は環境大臣らしく環境政策で国連でズバッとやりたいところだったろうが官邸に子ども扱いされた。まだ大臣の器ではないのだろう。

内閣総理大臣夫妻主催晩餐会でアウン・サン・スー・チー氏と談笑する小泉環境相 ©ロイター/AFLO

 しかし今回の育休宣言に関しては「空気」という自身の得意技に併せ、「ゴシップとの相殺」という政治家らしいしたたかさを発揮した。

 あとは大臣として仕事ができるかどうか。十八番の政策を持てるかどうか。いつまでも「空気を変える」だけでは持つまい。

 さていろいろ書いてきましたが、小泉進次郎さん、滝川クリステルさん、第一子ご誕生おめでとうございます。