「文藝春秋」1月号の特選記事を公開します。(初公開 2019年12月20日)
◆◆◆
「よろしくお願いしますっ!!」
そうハキハキと挨拶をしながら、インタビュー会場に入ってきた田中は、「おっさんずラブ」や「あな番」で演じていた素直で元気なキャラクターそのままだった――。
俳優・田中圭(35)は間違いなく、2019年の“顔”だった。
2018年に放送されたドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で一躍脚光を浴び、その後も数々の話題作に出演。2019年に主演を務めたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)は、最終回で19.4%の番組最高視聴率を記録した。さらに、バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)では人気企画「ゴチになります!」の新メンバーとなり、活躍の場を広げている。
2020年1月17日には、主演を務める映画『mellow メロウ』が公開となる。田中が演じる主人公の夏目誠一は、独身で彼女無し。街で一番オシャレな花屋「mellow」を営んでいる。
映画公開に合わせ、田中が「文藝春秋」のインタビューに答えた。
“可愛い”には「あまり何も感じていないです」
「どうして自分は急にこんなことになったのかと、この1年くらい、よく自問自答しています」
確かに、世間の田中を見る目はガラリと変わった。「おっさんずラブ」では憎めないダメ男ぶりが、「あな番」では15歳年上の妻(原田知世)に甘える姿が女性たちの心をくすぐり、SNSでは「可愛い」という声が相次いだ。
だが、「可愛い」と評されることを当の本人はどのように感じているのだろうか。その疑問をぶつけると田中は大きく息を吸い、少し考え込んだ後に語り出した。
「嬉しいかどうかは置いておいて、難しいですが……その言葉に対してはあまり何も感じていないです。普通に受け止めて『ありがとうございます!』と答えています。
雑誌の撮影とかで『可愛い顔してください』とお願いされて、『可愛い顔ってどんな?』と思ったりもしますが(笑)。それで『じゃあこれから可愛い感じでいようかな?』ともならないです。いろいろ言われても、僕自身は何も変わりません」