菅義偉官房長官は1月14日の記者会見で、天皇・皇后両陛下が4月から6月の間をめどに、英国を訪問される方向で調整すると発表した。英国側から招待があったもので、昨年5月の即位後、両陛下が外国を訪問されるのは初めてのこと。雅子皇后のご同行が実現すれば、2015年のトンガ訪問以来の外国訪問となる。

天皇皇后両陛下。雅子さま2019年12月9日の54歳御誕生日を前にして(宮内庁提供)

 宮内庁関係者が語る。

「天皇陛下は1983年から85年まで、英オックスフォード大学マートンコレッジに留学されています。皇后陛下も1988年から90年まで同大学のベーリオールコレッジに留学された経験があります。皇室と英国王室の歴史を紐解けば、上皇陛下の初めての外国訪問は、皇太子時代の1953年に昭和天皇のご名代としてエリザベス女王の戴冠式に参列されるためのものでした。

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バッキンガム宮殿 ©文藝春秋

 昭和天皇の即位後初の外国訪問も1971年の英国など3カ国公式訪問を含む欧米8カ国歴訪の旅です。英国は天皇陛下の即位後最初の訪問地として最もふさわしいといえると思います。ただ、気になる点もあります。令和に入り、安倍晋三政権下で最初に招いた国賓は、米国のトランプ大統領です。この春には中国の習近平国家主席も、国賓として迎える方向になっています。両陛下の初訪問地が英国となると、どうしても皇室の国際親善が『大国優先』だというイメージで捉えられてしまうのではないかという懸念があるのです。“平成流”では皇室は国の大小で区別しないというものでしたから」

雅子さまとメーガン妃 重圧にさいなまれた「共通点」

 英国王室が、ヘンリー王子と妻のメーガン妃の王室離脱問題で揺れている最中の訪問発表というのも、微妙なタイミングといえるのではなかろうか。

エリザベス女王(左)は、ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱を許した ©AFLO

「皇后陛下はご結婚後、常に“お世継ぎ”を産むことを求めるプレッシャーに悩まれてきました。欧州各国の王室とは異なり、お世継ぎは男系男子に限るという皇室の伝統の前に『男の子を産まなければ』という重圧にさいなまれてこられたわけです。それが2004年5月のいわゆる『人格否定発言』につながったのです。皇后陛下は皇室の中で肩身の狭い思いをされてきました。もしかすると、エリザベス女王との不和やヘンリー王子の兄・ウィリアム王子の妻・キャサリン妃との確執が噂され、英国王室で浮いた存在となっていたメーガン妃に、皇后陛下がシンパシーを感じられている可能性も否定できません」(同前)