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「兵長様は王様」韓国の兵役中にもっとも嫌がられる内務班の“集団生活”とは

韓国を支配する“空気”の研究――軍隊生活編

2020/01/25

 すべての韓国の成人男性に一定期間軍隊に所属する兵役義務があるのは、日本でもしばしば報道される韓流スターの“入隊”で知られているのではないだろうか。しかしそこではどんな生活が待っているのか? 『韓国を支配する「空気」の研究』より「軍隊生活のしごきとパワハラ」を紹介する。

最長22カ月の“軍隊生活”でたたき込まれる文化

 韓国の「パルリパルリ(早く、早く)文化」。経済の発展とともに、スローライフを楽しむ習慣も芽生えてきたが、依然、この習慣を厳格にたたき込む場所がある。

 大多数の韓国男性が行かなければならない場所。軍隊だ。

 1953年に朝鮮戦争が休戦した直後、陸海空軍ともに服務期間は36カ月だった。その後、時代の流れとともに期間はどんどん短くなり、2020年からは陸軍と海兵隊が18カ月、海軍が20カ月、空軍が22カ月となることが決まった。それだけ、韓国の人々は、兵役を重荷に感じている。

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「軍隊生活を最初に実感したのは、そのスピードだった。パルリパルリの習慣はそこで身につけたよ」。1988年からソウル南方の部隊で服務した知人は語る。

命令には、とにかく何も考えずに体が自然に動くようになる

 毎朝の起床時間は午前6時だった。起きて10分間で軍服と軍靴を身につけ、寝床を整えたうえで、練兵場に集合しなければならなかった。掃除や朝食を済ませると、それぞれの部隊で演習や業務に従事した。入隊して4~6カ月は2等兵。この時期に、命令が飛んだら、とにかく何も考えずに体が自然に動くようになる習慣をたたき込まれる。命令が出た後、各自が意味を考えたり、反論したりして勝手に動いたら、敵にやられて皆死んでしまうからだ。

 午後6時になると帰営した。戻れば戻ったで、掃除や洗濯作業が待っている。先輩の軍服を洗い、軍靴を磨く。帰営が遅れれば、それが残業などの正当な理由があろうと関係なく、怒鳴られた。いちいち釈明を認めていたら、やはり敵にやられてしまうからだ。毎日午後10時の就寝時間まで、気の抜けない生活が続いた。