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無気力・無関心・無責任……日本社会の中枢を担う「しらけ世代」の残念すぎる生態

「だって俺たちの責任じゃないもん」と嘯く“1950年〜64年生まれ”たち

2020/01/28

 それでもこの世代は団塊世代ほどには大きな人口を擁していなかったので、就職についても円高時代で景気は良くなかったものの、現代の40歳代とは異なりそれほど困ることもなく就職ができたのである。

就職後はバブル景気に育てられた

 彼らが就職した当時の日本企業はその後バブル景気の波に乗って急成長する。この世代は新入社員から30歳代半ばでバブルを迎える。まだそれほど重要な仕事を任せられる年代でもないが、会社は好景気で毎晩銀座や六本木で呑んだり歌ったり、踊ったりできる。そしてその費用はすべて会社持ち。深夜になってもタクシーが捕まらないので仕方なく朝まで六本木で飲み歩く。そんな緩い時代に会社で緩く「育てられた」のだ。

バブル期の象徴とも言える「ジュリアナ東京」 ©AFLO

 今でもこの世代は、若い社員たちを居酒屋に連れていっては当時を懐かしんで「あの頃はさあ、飲みに行っても財布なんか開いたことないの。み~んな会社もちでさ、でへへへ」といって、しっかり割り勘でお開きになり社員たちを「しらけ」させている。

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「ほれみたことか。やりすぎなんですよ」

 さて時代は平成になって、やがてバブルはあっけなく崩壊。しらけ世代が負ったのは、戦中団塊世代が残していったバブルの後始末だ。戦中団塊世代には名経営者が多い。戦後の日本経済をリードした会社の多くをこの世代が創業し、世界中に進出し、日本経済躍進の一翼を担ってきた。

 彼らは大学紛争などでゲバ棒を振るっていたのが、会社に入ると思想を豹変させて今度は会社のために一意専心突き進むようになる。その行き過ぎた結果として引き起こされたのがバブル崩壊だった。

©iStock.com

 会社に入ってひたすら団塊世代以上の人たちから、今なら間違いなくパワハラで訴えてよいレベルの取り扱いを受けながらもじっと耐えて働いてきたしらけ世代にとっては、「ほれみたことか。やりすぎなんですよ」と心の中では思いながらも、黙々と後始末に精を出したのだ。

 しらけ世代の特徴は、人数が多くやたらに声のでかい団塊世代にはひたすら忠実に振舞うものの、会社や仕事自体には実は「無関心」であり「無気力」で「無責任」なのである。バブルを引き起こしたのは自分たちのせいじゃない。与えられた役割だけやればよい。そうしていれば上の人たちは満足してくれる。