1月10日、総務省が発表した11月の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は27万8765円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.0%減少した。消費支出のマイナスは2カ月連続で、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が顕在化した形だ。

「ハッキリ言って、増税はすべきではありませんでした」

 こう語るのはポール・クルーグマン氏だ。2008年にノーベル経済学賞を受賞し、現在は「ニューヨーク・タイムズ」のコラムニストを務める、世界で最も影響力を持つ経済学者の一人だ。金融緩和やインフレターゲットを主張する「リフレ派」として知られ、2014年には安倍晋三首相と会談し、10%への消費増税先送りを進言するなど、アベノミクスの「理論的支柱」としての役割も担ってきた。

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 クルーグマン氏が小誌のインタビューに答え、消費増税に反対する理由を語った。

消費税は上げるべきではなかった ©共同通信社

いまのタイミングでは日本経済を悪化させるだけ

「消費増税は、緊縮財政に当たります。本来、緊縮財政は、景気の過熱を抑えるために行うもの。いまのタイミングで行っても、日本経済を悪化させるだけです。実際、昨年10月のGDPは前月比マイナスに落ち込みました。どうしても消費税を上げたいのであれば、これまで目標としてきたインフレ率2%を達成し、好景気になるのを待つべきでした」

ポール・クルーグマン氏 ©大野和基

 政府は消費増税によって5兆5000億円の税収の増加につながると見込んでいる。だが、クルーグマン氏はこれについても疑問を呈する。

「そもそも、ただ単に、消費税率を上げるだけでは、税収の増加にはつながりません。景気が十分に回復していないときは、消費税収自体は上がったとしても、景気の冷え込みで所得税などが下がり、全体の税収はかえって落ち込んでしまうのです」