「高齢化は今や世界的な課題です。1850年以降のデータを見ると、人類の平均寿命は10年ごとに2年ずつ延び続けている計算になります。

 先進国においては、1967年生まれの半数は91歳まで、87年生まれの半数は97歳まで、2007年生まれの半数は103歳まで生きるとの予測もあります。『人生100年時代』は、もうすでに始まっているのです」

リンダ・グラットン氏 ©大野和基

「人生100年時代」の提唱者が語る“長寿の恩恵”

 こう語るのは、人材論・組織論の権威であるロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏(64)だ。

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「人生100年時代」は今でこそ聞きなれた言葉となったが、元々はグラットン氏が提唱したもの。長寿の時代に向けて働き方や生き方を変えていく必要性を説いて、世界的に影響を与えた。アンドリュー・スコットとの共著『ライフ・シフト:100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)は20カ国語以上に翻訳されており、日本でも35万部を超えるベストセラーとなっている。

『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)

 長寿といえば年金や介護など、負の側面がクローズアップされがちだ。

 文藝春秋ではグラットン氏に単独インタビューをおこない、長寿を厄災ではなく恩恵にするために、我々はどのような人生を築くべきかを聞いた。