1ページ目から読む
2/3ページ目

代替わりした「八兆」を訪ねてみた

 その「八兆」を5月の晴れた土曜日の昼前、久しぶりに訪ねてみた。

 以前と違う点は、若大将と若女将が二人で切り盛りしていることだ。代替わりして活気がある。木型で作る、さけ、たらこ、おかか、うめぼしのおにぎり(110円)も健在だ。

 ステンレスのバットに、綺麗に揚げられた天ぷらが並んでいる。

ADVERTISEMENT

 かき揚げ天、春菊天、ちくわ天、いか天、ごぼう天、えび天など。ほんのりとごま油の琥珀色の香気が立つ。

整然とした短冊に期待も高まる

 最近は、唐揚げそば(420円)が人気だという。時代は変わってきたのだなとつくづく思う。

 早速、唐揚げそばを注文した。

 注文後、若大将が生麺を大鍋に放り込む。淀みなく箸でかき混ぜて茹で進める。見ていて楽しい。麺上げして、食べやすいようにカットした唐揚げとわかめをのせ、若女将に渡すと、つゆを注ぐ。どんぶりの連携も手際よい。

唐揚げそば(420円)

ライスが欲しくなる「唐揚げそば」

 出て来た唐揚げそばのつゆをひと口。出汁の味が香る。「そうそう、この味」。出汁の香りと返しの味が深い。昔と変わらない。立ち食いそば好きの友人が「うめえよ、やられたよ」と唸ったつゆである。

 麺もやや太めでちょうどよいコシ。この麺も移転してからは変わらない。

 唐揚げは返しを使って揚げているので、揚げ色がやや濃いのだが、鶏肉はジューシーに揚がっていて、ライスが欲しくなる。