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「なぜ初対面のおじさんについていったの?」誰かに受け止められたかったゲイ男子・七崎良輔さんの心境

もちぎ✕七崎良輔対談 #1

note

「スーツを着たゲイ」を見て発信しようと決めた

七崎 もちぎさんが、発信を始めたのって『おっさんずラブ』がきっかけと聞きました。

もちぎ そうなんです。2018年の10月からSNSでの発信を始めたんですけど、テレビでパートナーシップ制度について報じられたり、『おっさんずラブ』で女装していない、化粧もしていない、スーツを着たゲイがマスメディアに登場したタイミングでした。

もちぎさん

七崎 スーツ、というのが一つポイントなんですね。

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もちぎ スーツが好きだからってのもあるんですけど(照)。年上や権威を象徴しているのが好きというか……。

七崎 私もスーツの人、好き。でも、自分は制服を着ていたいというか。そういうプレイはたまに彼とします。

もちぎ なるほど。オフレコですね、これは(笑)。

 今までマスメディアで見るゲイって、何か突出した人だったと思うんです。女装家であったり、奔放だったり、センスが良かったり。でも、『おっさんずラブ』は普通のサラリーマンが題材だった。『きのう何食べた?』に至っては、主人公たちがゲイである特別な理由はない、もはや確率みたいな話になってきたな、って思ったんです。

七崎 いい意味での驚きがありましたよね。

 

もちぎ 当時はびっくりしました。それを見て、もっと身近なゲイの話をしたい、自分たちが見てきた話をしたいと思ったのがきっかけです。

七崎 それで、実際経験された、ゲイ風俗の話をされるように。

もちぎ はい。ゲイやレズビアンといえば、真実の愛をつかんでいて、権利を求めてがんばっている人ばかり、というのもちょっと違うなと思って。LGBTQの中でも、いいやつも、悪いやつもいるし。

 ゲイ風俗も、「風俗に勤めているからには何か特別な事情があるんだろう」って思われがちですけど、実際は同年代のゲイのコミュニティがそこしかなかったから勤めている子もいたし、おじさんにちやほやされた経験を捨てられずに、就職したのに辞めて戻ってきた子もいたし。そういうリアルな事情や、誰でも持っている弱さも発信していきたいなって。