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「なぜ初対面のおじさんについていったの?」誰かに受け止められたかったゲイ男子・七崎良輔さんの心境

もちぎ✕七崎良輔対談 #1

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「ちやほやされたい」という気持ちはわかるかも

七崎 ちやほやされたいって気持ちは、わかるかもしれないです。私も、カミングアウトするまでは自分の周りに壁を作って、男らしくしなきゃと思いながら生活してたから、ありのままの自分を受け止めてくれる人がいるってことがすごく嬉しかったんですよ。それが、たとえ身体だけの関係であったとしても。もちぎさんはサポ(*2)の経験があると本で書かれていましたが、実は私もサポの経験があって。

*2 サポ……援助交際のこと。

 

もちぎ おお、そうだったんですね。

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七崎 でも、振り返ってみると、お金に困ってたからやった、というよりは、ゲイの自分を喜んでくれる人がいるっていうのを実感したかったんだと思います。紆余曲折があって結局働かなかったけど、ゲイ風俗の面接も受けたことがありました。だから、もちぎさんの話には、なんというか、巡り合わせを感じます。ちなみに、サポっていくらくらいでした?

もちぎ 男同士入れるようなラブホもない田舎で、毎回スーパー銭湯の無料開放してる駐車場の中で、という感じで……だから、相場も分からず、4000円くらいで買い叩かれてました。

七崎 今思えば、私も買い叩かれてたな。私は銀座からちょっと行ったところに細い家を持ってる人の自宅に行ってサポ受けたけど、5000円でした。大人になってから、どれだけ危ないことしてたかやっと気づいた。

もちぎ ツイッターでもつぶやいているんですけど、お店に在籍していれば、手取りは減るかもしれないけど買い叩かれはしないし、性教育もしっかり受けられる。今は、サポしている子を見つけたらお店に誘うようにしてます。本当に危ないですから。

 

 七崎さんの場合、初体験が掲示板で出会った初対面のおじさんだったって本で書いていましたよね。苦いご経験だったみたいですが、それは大丈夫だったんですか。

七崎 当時はね、利用されたって感覚は全然なかったんですよ。ゲイの人って地球上に数えるほどしかいないんじゃないかと思ってたから、ようやく会えたのがすごく嬉しくて。焼き鳥買ってくれて、エッチもしてくれて、訳も分からずビデオ撮影されちゃったけど、でも「やったーありがとう」って感じ。

もちぎ 純粋だ……。