ゲイ風俗やゲイバーで働いた経験を赤裸々に発信し、ツイッターのフォロワー数53万人超えのもちぎさんが、幼少期や10代の頃のことを綴ったエッセイ『あたいと他の愛』を上梓。同性パートナーと出会うまでの半生を綴ったエッセイ『僕が夫に出会うまで』の著者で、江戸川区を中心にLGBTQの啓発や同性婚実現に向けた活動をしている七崎良輔さんとの対談が実現しました。

 もちぎさんと七崎さんの意外な共通点、七崎さんがぶつけられてモヤモヤした言葉、もちぎさんの一人称「あたい」に隠された深~い理由……様々な話題が飛び出した、ユーモラスな2人のトークをお楽しみください。(全2回の1回目/後編を読む)

もちぎさん(手前)と七崎良輔さん(奥)

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七崎『あたいと他の愛』、とっても楽しく読みました。まったく違う人生を歩んでいながら、似ている部分もあって……自分の過去のことも振り返ることができて、いい経験になりました。

もちぎ 自分も、『僕が夫に出会うまで』めちゃくちゃおもしろく読みました。やっぱり、印象に残っているのは自分の経験と重なっているような部分です。たとえば、七崎さんの高校時代のお話で、大柄な友人の「あず」ちゃんが登場するかと思うんですが、僕も高校時代の親友が、大柄な女の子だったんですよ。

七崎 腐女子のカナコちゃんですよね。

もちぎ そうそう。枠から外れた者同士、でもないけど、同じような仲間が集まるときって集まるんだな、って思い出しました。

七崎 逆に、私とまったく違う経験をされているなと思ったのは、もちぎさんと、初恋の相手でもある中学校の先生とのエピソード。私は理解のない先生たちに出会うことが続いてしまったから、大人や社会に対する反骨精神ばかり育っちゃったんです。25歳くらいまで、先生という人種がすごく苦手だった。

七崎良輔さん

もちぎ 七崎さんが小学校の人気者の先生に「ぶりっ子してるから、いじめられるんじゃない?」と説教されるエピソードはすごい衝撃でした。自分、キャラクターとしてのもちぎの一人称は「あたい」だし、ブリブリな感じでホゲてるんですけど(*1)、これまでずっと、いわゆる“男の子らしい”男の子だったんですよ。

*1 ホゲる……男性による、いわゆる“女性らしい”言動のこと。

七崎 そうなんですね。2丁目で働いているときは、ホゲてるんですか?

もちぎ ゲイ風俗のときはまったくホゲてなくて、ゲイバーではちょいホゲくらい。でも、普段はすーん、男の子です、って感じ。「ゲイだってバレたらどうしよう」って葛藤もなかったので、幼い頃から「自分は周囲と違う」って感じていた七崎さん、とてもつらかっただろうなと思います。