文春オンライン

「30代前半でも早期退職を求められる」壮絶な日本企業の現場で起きていること

HRテックで人事評価がシビアになされるようになった結果……

2020/01/24
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 先日、大手総合商社の使えない中高年が、2,000万円という高い年収を貰いながら窓際族をやっている、通称『Windows 2000』なる新たな窓際族がいる、と話題になっていました。

 といっても、記事の初出は2013年の週刊ポストさんの記事だったんですが、いまだにTwitterではこれをもじった記事がなお垂れ流されているのが現状です。

OLが嫌う新窓際族 「ウィンドウズ2000」型上司とは|NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20130404_180098.html

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社内でヒマして年収2000万。商社のエリート窓際族「ウィンドウズ2000」の光と闇を教えよう|就活サイト【ONE CAREER】
https://www.onecareer.jp/articles/1418

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ウィンドウズ2000はとっくに終わった話

 で、昨今の海上自衛隊の中東派遣など中東情勢が厄介になっていたので、先日現地に急派されることになった商社マンの皆さんの壮行会に顔を出してきたのですが、口を揃えて「50代で働かずに2,000万なんてとっくに終わった話で、何かあれば最前列に押し出される予備役みたいなものですから」と力なく笑っていました。私としてはこの宴会に「やーい、いい歳して会社にしがみついてたら危険地帯に徴兵されてやんのバーカ」と煽りに行くつもりだったのですが、結構みんな深刻そうな顔をしていたのでネタを申し上げる機会もなく、しめやかに帰路につきました。

 どうも、ネットでの話は面白いことが事実より優先されることもあって、現実には語学ができる駐在経験のある人は50代、下手したら60代ですら、健康ならバリバリ働いているし、社内でも取引先でもお声がかかる。また、経営再建を進めていた別の総合商社では、先にリストラに応じた人は退職金に加えて月額何十万円かの追加のお金をもらって独立したり、ベンチャー企業の顧問をやっていたりするそうです。よく考えたら、総合商社で窓際をやるのは国際畑の人が人事の都合で国内に連れ戻されて、自分のスペシャリティが活きない仕事をあてがわれて死んだ目をしているだけなのかもしれません。

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 いわゆる「使える中高年」は履歴書を書いてハローワークに行かずとも引く手あまたの状態である一方、同じ高給取りでも潰しの効かない外資系コンサルや外資系金融、大手広告代理店、国内財閥系シンクタンクなど、看板で仕事をしていた人たちが40代、50代で会社に見切られて行き場を失いどうしようもなくなっている姿をよく見ます。まあ、一度生活レベルを上げてしまうとなかなか下げられないこともあって、みんな大変そうにしているのよね。

 で、私もご契約を頂戴して月イチぐらいの訪問でお付き合いしている商社や輸出系の製造業では、将来の遊休戦力になりそうな働き手は、たとえ人手不足で30代前半でも、かなり選別して本社に残さないような人事をしているというので戦慄します。