「これからの日本では年齢に捉われない自由な生き方が増えていくと思うんです。つまり、今までの『レール』をぶっ壊していくことが必要になってくる。学び方も働き方も、自分の価値観に沿って選択していくということです。でも僕は、心配なことがあるんです。

 最近の大学生は就職活動をする時、3つのポイントで就職先を選ぶらしいです。1つ目は、倒産の心配がない企業、2つ目は給料が高い企業、3つ目は残業が少ない企業。だから最近は公務員を志望する学生も多い。彼らはそもそも、自分の価値観を持っていないんじゃないか」(田原氏)

田原総一朗氏 ©文藝春秋

「生涯現役」を貫く2人の対談

「文藝春秋」2月号では、ジャーナリスト・田原総一朗氏(85)と、コメディアン・萩本欽一氏(78)による「生涯現役対談」を開催。「人生100年時代」における理想的な働き方や学び方について、自身の経験から語りあってもらった。

ADVERTISEMENT

 今年で86歳を迎える田原氏はまさに「生涯現役」の体現者だ。毎週放送の「激論!クロスファイア」(BS朝日)と「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日)に加えて雑誌などでも取材・執筆活動をおこない、多忙な日々を送っている。

 一方の萩本氏は2015年、73歳という年齢で駒澤大学仏教学部に入学。4年間学んだ後、2019年5月に「新しいお笑いを作る」ために自主退学したことを発表した。人生を通して、常に新しい何かに挑戦し続けている。

萩本欽一氏 ©文藝春秋

モチベーションを持て!

 対談を進めるなかで田原氏から、現代の就活生の姿勢について冒頭のような指摘が出たのだった。

「平成元年、世界時価総額ランキングのトップ50に日本企業は32社も入っていました。ところが、去年はトヨタの1社だけ。今の世界のトップ企業はグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルで、日本は完全に落ちこぼれています。

 これからの時代は従来のことをやっているだけでは駄目で、新しい発想をして、ビジネスを生み出していくことが求められる。そのためには、若い人達が好きなことを見つけて、『モチベーション』を持って積極的に仕事をすることが大事だと思うんですよね」(田原氏)