特撮・アニメ作品を数多く手がけた重鎮脚本家の上原正三さんが、去る1月2日に亡くなった。享年82。死因は肝臓がんだった。
特撮は『ウルトラマン』(66年)、『ウルトラセブン』(67年)、『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)、『宇宙刑事ギャバン』(82年)、アニメでは『ゲッターロボ』(74年)、『UFOロボ グレンダイザー』(75年)等々と、1960年代後半から80年代に幼少期を過ごした者にとってはまさに子守唄代わりともいうべき作品の脚本を数多く執筆されていたのが上原氏で、言ってみればこの世代にとって精神面での“育ての(父)親”といっても過言ではない。
「怪獣使いと少年」に並ぶ名作「友達は風になった」
死後、『帰ってきたウルトラマン』(71年)第33話「怪獣使いと少年」がネット上で再評価され、一ファンとしては喜ばしいと同時に「上原先生の傑作はこれだけじゃないのに……」という歯がゆい想いもした。この「怪獣使いと少年」は、人種差別問題(具体的に書いてしまうと朝鮮人差別問題)を、宇宙人と孤独な少年の心の交流を通して描いた衝撃作にして問題作で、確かに同氏の代表作の1本には違いないが、ご本人は「あまりにストレート過ぎて、今観直すとちょっと気恥ずかしい」とご生前仰っていた。もちろんご謙遜も含めての発言だろうが、このお話も素晴らしいものの個人的にはテレビアニメ『ゲッターロボG』(75年)第14話「友達は風になった」を氏のベスト1に推したい。