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2020/01/25

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

組員6000人以上の顔写真データ

 警察庁によると、2018年末時点での山口組の構成員は約4400人、神戸山口組は約1700人となっている。山口組の勢力範囲は43都道府県、神戸山口組は32都道府県にそれぞれ2次団体、3次団体とピラミッド型に傘下組織が存在している。新聞や週刊誌に顔写真が掲載されているような大幹部ならまだしも、これだけの大人数のうち、わずか5人ほどで集まったことを、警察はどのように把握するのか。

 今回の特定抗争指定の作業を進めてきた警察庁幹部は、次のように強調する。

「6代目(山口組)側の4400人と、神戸(山口組)側の1700人のほぼ全員の顔写真の画像データはすでに入手済みだ。顔写真だけですぐに、どの傘下組織のどういう役職のどの人物と特定できる体制になっている」

 さらに、今後の捜査手法について、次のように自信をのぞかせる。

「全国に捜査員を張り付かせて、5人以上で集まったかどうか、尾行や張り込みで組員の行動を細かく確認する訳には行かない。物理的に無理。しかし、『抗争事件に備えた動きがあったようだ』などとする情報に基づき、全国の主要地点に設置されている防犯カメラの画像を分析し、顔写真データと照合して5人以上で集合していた状況が確認されれば、即座に逮捕するなど強制捜査に乗り出し弱体化を図る。未設置の主要地点には防犯カメラを随時、増設していく」

特定抗争指定で、警察は山口組への警戒を強めている ©iStock.com

 特定抗争指定された暴力団は、5人以上の集合や対立組織の事務所周辺でのうろつきなどの行為で逮捕の規定があるが、この警察庁幹部は、「ほかにも、縄張り荒らしの禁止、勢力拡張の禁止という規定があり、この点でも双方の弱体化に期待ができる」との見通しを語る。

「例えば(山口組系の)弘道会が(神戸山口組系の)山健組と付き合いのある飲食店などの店舗で、弘道会を名乗って入店し、さらには弘道会との付き合いを要求するなどの行為も、『縄張り荒らしの禁止』や『勢力拡張の禁止』にあたり、即アウトとなる。

 これは弘道会に限らず、当然のことながら山健組も同様の行為に出たら、これもダメということだ」(同前)

逮捕者第1号をめぐる攻防

 すでに警察による山口組と神戸山口組の双方への揺さぶりは始まっている。それどころか、警戒区域を管内に持つ大阪や兵庫、愛知などの警察本部では、逮捕者第1号を自らの手で成し遂げたいと虎視眈々と狙っているだろう。

 関西に拠点を置いている山口組系幹部が打ち明ける。

「5人までではなくとも数人で集まったというだけで、(特定抗争指定の規制の効力が始まった)7日以降、早くも枝(傘下団体)の組員が警察署で取り調べを受けたようだ。厳重注意で帰らされたと聞いた」

 今回のケースでは、「おおむね5人での集合」との警察の判断で取り調べとなったようで、逮捕にまでは至らなかったという。

 特定抗争指定後、表向きは平穏に推移しているが、水面下での鍔迫り合いはすでに始まっている。

(敬称略)

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