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京都は和風イタリアン! 季節の移ろいを表現する、絶賛の3軒

関西グルメ誌「あまから手帖」編集長が通う「京都、和食じゃない美味い店」

2017/06/24

genre : ライフ, グルメ

子羊に木の芽、パスタに生コノコ?

 坂本シェフと同門、『イル ギオットーネ』出身の早川大樹シェフが、ソムリエの池本洋司さんとタッグを組んだ御所南の『ヴェーナ』は、昨年末オープンしたばかり。陽気な池本さんのサービスは実にリズミカルで心地よく、早川シェフの料理をベストマッチのワインと共に盛り上げている。

 その早川シェフの料理が、奔放だ。初夏のある夜のコースなら……。一皿目、新玉ネギのグラタンがグリッシーニの粉の上に載って登場。無口なシェフにその心はと問えば「土の上にあった方が玉ネギっぽいかと思って……」とな。香ばしさと塩気が利いていて、食感も愉しい。焼きフォアグラとサクランボのタルトには、「アイスが付いていた方が熱々と冷や冷やでいいかと…」と、トリュフオイルで香りづけしたミルクジェラートを添えて。

『ヴェーナ』の焼きフォアグラとサクランボのタルト

 メインは、ほんのりと木の芽の香りを纏った子羊。その前にリゾット、後にパスタという構成も自由だ。そのパスタが良かった。北寄貝とジュンサイという異色の組合せに、レモンの皮と生のコノコ(ナマコの卵巣)。もはや想像の域を超えていて、一口食べてムフフと笑ってしまった。磯の香り、押し寄せることホヤの如し。日本酒!と叫びたくなるところをレモンの皮が白ワインに連れて行く。池本さんが是非にと薦める一杯は、キリッと鋭角的なシャルドネ。柑橘のニュアンスが、幸せな余韻となって口中に残った。

 私はワイン好きだが詳しくないので、その凄さは理解の外だが、知る人ぞ知るヴィンテージが揃っていると聞いた。イタリアワイン党ならば、池本さんの待つカウンター席へ是非。知識もあるがオチもある、関西人のトーク力に心地よく酔えるはずだ。

北寄貝とジュンサイを使ったパスタ
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