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脳科学的に「父親」と「母親」の役割ってあるんですか

中野 まあ、それは雑誌が潰れちゃうといけないから、これ以上は言わない(笑)。公務員なのにそんな虚言癖のある自分がちょっとつらいというお悩みを寄せていただいて。でも、虚言癖って実はすごい才能なんですよ。小説ってフィクション、つまり「嘘」ですよね。虚言癖とは、小説を書けるようなすごい才能だということなんです。

 相談者がついた嘘の中身を見ると、どれもすごく面白いんです。ちっとも人を貶めようとする内容ではなくて、どうしたら人を楽しませられるかという、どれもが機知に富んでいるんです。例えば、人のものをちょっと取っておいて、いつの間にかなくしちゃったという状態をいっときつくっておく。そのうえで、あ、見つけたよ、と喜ばせるとか。

内田 小さなサプライズ。

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中野 そうそう。小さな喜びの演出だったりするんです。何でもないことを楽しいことに変える天才みたいな感じの人なんですよ。で、この人は職業選択を間違ったと思ったんですよね。なんで公務員なんかになっちゃったのかしら、ということを回答としてお話しさせていただいたんです。

内田 結局、やっぱりいろんな種類の脳の人が居て、みんな適材適所ということなんですよね。絶対にダメだということはなくて、今の例の相談者の方のような小さな嘘をついてしまう方の生きる場というのがきっとあるんですよね。

中野 もちろんです。

内田 それに出会えれば。

中野 才能が開花する。

 

内田 今日は「家族」がテーマなんですけど、家族の始まりというのは、一応子どもをつくるという意味では男と女。それが夫婦となって、夫と妻。そして子どもができたらお父さん、お母さん。私からすると、去年亡くなった父とその半年前に亡くなった母というのは両親で、その子どもなわけです。まず中野さんにいきなりお聞きしたかったのは、家族のなかにおける父親と母親の、脳科学的な本来の役割というのはあるんですか?

中野 ないでしょうね。

内田 あっさり(笑)。あっさり、ないんだ!

中野 すいません(笑)。

内田 じゃあ、どんなカタチの父親、母親であっても間違いではないというか。

中野 もちろん、そうです。ただ、私たちは社会通念というものをかなりの年月をかけて学んできてしまうので、マジョリティーの考え方を「これが正しいんじゃないかな」と蓋然性を持って学習してしまうというところがあるんです。それに照らし合わせて、どれだけ外れているか・外れていないかで、「自分は間違っている気がする」という感覚を持ってしまうことはあるんです。でも、どのカタチであっても、特に別に生物学的に誤りということはないんです。

 子孫を残すのには染色体XXとXYが必要ですよね。それは確かにそうかもしれないけれども、じゃあ同性愛カップルとかどうなるのよ、という話とかいろいろあると思うんです。例えばアルバトロス。

内田 鳥の?

中野 そうです。大きい白い鳥がいるんですけど……、何ていうんだっけ。あ、アホウドリ。

内田 日本名はアホウドリっていうんだ。

中野 そうそう。アホウドリのカップルって、3分の1はレズビアンなんです。