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超強気!? なぜワークマンは楽天から撤退するのか――「店舗受取」の勝算とは

2020/01/28
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 ZARAを展開するインディテックスも2018年にC&Cにシフト。EC専用倉庫の拡張をやめて店舗在庫を充実させ、ネット通販の注文者に対して商品を店舗で渡したり、店舗から顧客に直接出荷したりする体制に切り替えた。その結果、ECだけで購入していた顧客が来店を契機に店でも購入してくれるようになり、店舗売上も上向いている。

 ユニクロもネット通販の売上の44%が店舗受取となっており、送料が高騰する日本では、今後、C&Cの比率が高まっていく可能性は高いといえる。特に、店舗数を拡大していくワークマンにとって、高い送料を払って低価格の商品を購入してもらうよりも、店舗にお客様に足を運んでもらって、ついで買いをしてもらったほうが、さらなる売上増に繋がるといえる。フランチャイズの比率が9割を超えるワークマンにとって、C&Cは実店舗への誘導にもなるので、加盟店舗への集客手段として、ネット通販を利用したいという狙いもあるのかもしれない。

ワークマンは全国に854店舗(2019年10月末現在)。2025年までに1000店舗を目指している ©日刊工業新聞/共同通信イメージズ

楽天からネットショップの撤退は続くのか?

 好調な業績とC&Cの強化によって、ワークマンは楽天を飛び出しても十分にやっていけると思われる。しかし、だからといって、楽天から次々とネットショップが撤退していくという流れになるとは思えない。

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 現在、ネット業界は人手不足が深刻な問題となっており、人件費がここ数年で急激に高騰している。その影響でネット系のサービス料金が値上げの一途を辿っており、仮に自社サイトで楽天と同じように検索エンジン対策とネット広告を展開するのであれば、取り扱う商材によって差はあるものの、人件費と広告費の諸費用で最低でも月に200万~300万円の費用が発生してしまう。中小零細規模のネットショップが、楽天から飛び出してネット通販を続けることは、現実的ではないといえる。

 売上の20%ぐらいの手数料と広告費を支払ってさえいれば、そこそこの収益をあげることができるのが楽天の魅力でもある。送料を一部負担したとしても、小さなネットショップは楽天にとどまっていたほうが、確実に売上を作ることができるだろう。

 楽天から飛び出すワークマンに勝ち目はあるが、他のネットショップが楽天から飛び出してうまくいくかといえば、そんな生やさしい話ではないということは、理解しておいたほうがいいだろう。

超強気!? なぜワークマンは楽天から撤退するのか――「店舗受取」の勝算とは

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