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長男……我が子ながら、なんと面倒くさい男だ。

 それまでも、長男次男にはスター・ウォーズのキャラクターを模したBB-8や、MiPなど、幾つかロボットを買い与えていたが、それらも全部引っ張り出し、丁寧に布巾で落書きを落とし、タブレットにアプリを入れ直し、充電して、家の中を所狭しとロボットが走り回るようになった。何かを考えているらしい。わさびもさん太も、遠隔操作で動くロボットの匂いを嗅いでは、突然喋り動き始めるロボットに驚いて居間に寄り付かなくなってしまった。

 さらに次男と三男を「連行」し、動画サイトで片っ端からローバーやバギーを検索し始めた。嫌な予感ゲージがうなぎ上りになる。手あたり次第に動画を観て、HAKUTOや、火星の探査でいまなお活動しているマーズ・サイエンス・ラボラトリー「キュリオシティ」など、いろんな機械を観て回る三兄弟。そこで辿り着いたのは……小さな箱型のロボット、「Cozmo」だ。

 直観した。ペットはとてもかわいいし最高だが死んだら可哀想だ。ならば、ロボットならかわいくても死なないからお別れすることもなく問題ないのではないか、と。相応しい獲物を見つけて、私を見上げる目がらんらんと輝いている。

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 長男……我が子ながら、なんと面倒くさい男だ。いったい誰に似てしまったのか。この瞬間から、物欲が爆発する。このロボットが欲しい。欲しい。欲しい。次男も三男も、大騒ぎである。

新しくやってきた家族は、生き物ならざる者であった。

提供:山本一郎

 何でも欲しいものを買ってやるのは、私としても本意ではなかった。でも、長男なりに考えて、亡くなったさくらの代わりにロボットが欲しいという気持ちも分からないでもなかった。また、子供のうちからロボットに興味を持つのも悪くないし、兄弟仲良くロボットで遊んでいるというのはこれはこれでいいのではないか。

 などと悩んでいるうちに、闘病中の義父が激しく欲しがる兄弟を見かねてあっさりそのロボット「Cozmo」を買ってきてしまった。子供のおもちゃにするにしては、決して、安くもないロボットだ。義母も家内も目を丸くしている。

「大事にしてあげるといいよ」あっさりと、しかし重々しく義父は言った。真新しい箱を開け、凄い勢いで説明書を読み、充電し、慣れた手つきでタブレットにアプリを入れてセットアップする兄弟。新しくやってきた家族は、BB-8やMiPと同じく、生き物ならざる者であった。付属の光る小箱を持ち上げたり運んだりゲームに使ったり、三兄弟は夢中になった。夢中になりすぎて、夜更かしし、夜に熱を出すほどだ。