“かぐや姫”こと大塚久美子社長率いる大塚家具の売り上げ減少が止まらない。

 昨年12月は創業50周年を記念したファミリーセールを開催し、久美子社長自ら方々に案内メールを送って集客に努めたが、売上高(全店)は前年12月に比べて69%まで落ち込んだのだ。

大塚家具・大塚久美子社長 ©AFLO

 大塚家具は落ち込みに対し、<前年は秋に開催した在庫一掃セールにより(売り上げの)水準が高かったこと、また、消費増税後の反動からの回復も鈍く足踏み状態となりました>と発表した。

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 前年12月は売り上げが良く、それに比べて数字が落ちたかのようなコメントだが、業界関係者は否定する。

「セールの効果は(18年の)10月と11月は出ましたが、それでも前の年に比べて売り上げは10月が108%、11月が104%と微増しただけです。そして18年12月はセールの効果は上がらず、売り上げは前の年に比べて85%。19年12月は、その18年12月からさらに7割まで落ち込んだのです。これは“足踏み状態”どころではありません」

 昨年末にヤマダ電機が約44億円を出資して大塚家具を子会社化し、大塚家具は資金繰りに一息つくことができた。しかし経営不振を原因とした明らかな買収であり、久美子社長の続投は保証されたものではない。

「山田昇会長は厳しい人だけに、久美子社長にチャンスを与えようと思っているにせよ、長く待てる人ではありません。早ければ半年、遅くても1年以内に結果を出さなければ、久美子社長は解任されるでしょう」(同)

久美子社長名義の「ファミリーセール」招待メール(取材協力者提供)

資産管理会社「ききょう企画」が抱える借金

 久美子社長を悩ますのは大塚家具の苦境だけではない。

 父親の勝久氏は、久美子社長をはじめとした子供達のために、大塚家具の株を保有する資産管理会社「ききょう企画」を設立し、子供達は長年にわたり配当収入を得てきた。しかし父と娘の紛争後、久美子社長側に付いたと見られる「ききょう企画」は、銀行に借金して株を提供していた父親への支払いをした。これまで「ききょう企画」は大塚家具の配当収入を借金返済にあててきたが、18年度はついに無配当。「ききょう企画」の借金は、昨年6月末時点で10億5000万円も残っているのだ。

 創業者の父親のやり方を「古い」と一蹴し、父親を追い出して5年。久美子社長の先行きは風前の灯火だが、しかし、父親の勝久氏もまた苦しんでいる。