父の「匠大塚」は巨額の債務超過
勝久氏は15年7月、経営幹部などを引き連れて「匠大塚」を設立し、大塚家具創業の地である埼玉・春日部市に、東京ドームのグラウンド2個分の売り場面積を誇る「匠大塚春日部本店」をオープンした。
「久美子社長は大衆化を掲げて迷走しましたが、勝久氏は、大塚家具が続けてきた、個別案内制により高級家具を販売するスタイルを貫く意向です。開業に当たり、勝久氏が個人資産を数十億円投じたと話題になりました」(同)
その後2店目の匠大塚大宮タカシマヤ(埼玉・さいたま市)、昨年4月に3店目の匠大塚青山(東京・渋谷区)をオープンした。
しかし、業績はなかなか向上しない。
売り上げは16年度以降、7億6000万円、14億円、18億円と伸び、出店効果が出ている形だが、
「16年度以降、赤字が19億円、15億円、12億円と続き、設立4年が過ぎても赤字を垂れ流し、昨年3月末時点で、49億円に上る巨額の債務超過。匠大塚は、勝久氏が個人資産を投じた上に、地元の地方銀行の融資も得て、借入金は60億円を超えている模様です」(信用調査機関担当者)
地方銀行は春日部本店の土地・建物を担保に15億円の抵当権を設定していたが、昨年9月に、大塚家が所有する都内の2件の不動産を追加担保に取ったのだ。
「これ以上、銀行融資を当てにすることはできません。勝久氏の個人資産を投じ続けなければ経営できませんが、銀行融資を得たことを考えれば、その個人資産は無尽蔵ではないのでしょう」(同)
お家騒動後の大塚家の「意外なプライベート」
意外と知られていないが、ビジネスの上で分裂している大塚家は、プライベートでは一蓮托生である。久美子社長側についたと見られる前述の資産管理会社「ききょう企画」の所在地は、勝久氏の妻が所有する不動産。お家騒動の際に久美子社長側についた久美子社長の妹の住所となっている都心の高級タワーマンションの部屋も、実は勝久氏が所有しているものだ。
しかし、昨年9月に父親の匠大塚が追加担保として差し入れた不動産2件は、まさにこの「ききょう企画」の所在地と、妹の住所となっているタワーマンションの部屋だった。これまで喧嘩しながらも陰ながら娘を支えてきたように見える父親の力に、限界が見え隠れする。
「父親の勝久氏が大塚家の全員を見捨てるとは思えません。その父親の匠大塚が苦しんでいることは、久美子社長の先行きよりも深刻に見えるのです」(前出・業界関係者)