「体重の3分の1」を背負って移動
2012年、教育科学技術委員会に所属する国会議員が、大峙洞の学習塾街を歩いていた小学生10人を対象にかばんの重さを測る実験をして話題を集めたことがある。その結果、10人のかばんは平均8.5キロだった。小学3年生の平均体重が約30キロなので、体重のおよそ3分の1のかばんを背負って塾から塾へ転々としていることになる。
数学塾や英語塾に通っているヒョンジュン君のかばんもかなり重かった。かばんの中には数学のテキストのほかに、TOEFLリーディング、TOEFL文法、TOEFL単語集など、TOEFL関連のテキストだけで3冊、それに「ハリー・ポッター」の英語の原書も入っていた。ヒョンジュン君が通う英語塾では、毎日、TOEFLとTEPS(ソウル大学が主管する英語能力試験)に向けた授業を3時間行い、小説やエッセイを原書で読んで発表、ディベートする授業も行っているのだ。
小学生から苛烈な競争を強いられている韓国の子供たちだが、たとえ厳しい受験を乗り越えて良い学校に入れたとしても、「幸せな未来」は見えてこない――。
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「文藝春秋」2月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載した「格差国家・韓国『無限競争』の苦しみ」では、激しい受験競争を勝ち抜いても就職できない若者やリストラに戦々恐々とする中年世代、「死ぬまで働かないと生きていけない」貧困老人など、厳しさを極める韓国の格差社会の実態について詳述している。
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格差国家・韓国「無限競争」の苦しみ
【文藝春秋 目次】「消費税ゼロ」で日本は甦る<政策論文>山本太郎/<総力特集>2020年の「羅針盤」/わが友中曽根康弘 渡辺恒雄
2020年2月号
2020年1月10日 発売
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