うまい棒と鈴木亜美
村上 僕はこの本にも書いているけど、堀江が言ったように会社とは「上場したら誰が買ってもいいもの」で、それが嫌なら上場してはいけないと思っているからね。面白い男がいるもんだと思った。それから付き合うようになったけど、堀江の会社に「うまい棒」が山ほどあったのも面白かったな。
堀江 PRに使ってたんですよ。トレードショーに出る時に、ノベルティーを作るじゃないですか。大体みんなボールペンとかクリアケースみたいな、クソつまんないものしか作らないから、会社の名前が記憶に残るようなものを作ろうと言ったんです。それで、オリジナルのうまい棒を10万本作った。
村上 堀江の会社に行くと、廊下にうまい棒が並んでるの。これはなんだ、とビックリしちゃって。持って帰った(笑)。
堀江 僕はそんなことばっかり考えてるんですよ。何が当たるか分からないから、いろんなネタを仕込む。変なこともいっぱい考えて、中断したものもあります。例えばライブドアのポータルサイトに登録したら、当時の有名アイドルのヌード写真が見れるとか。
村上 そうそう、その話は覚えてる。鈴木亜美でしょ。
堀江 はい。可能性はゼロではないなと思ったんですけど、ダメもとでお願いしたらやっぱりダメだった(笑)。そういうトリッキーなことからなにからいっぱい考えて、全部実行したんです。そうしたら、たまたまプロ野球が当たったんです。
村上 あれは当たったって言うの?
堀江 「プロ野球買います」と言っただけで会社の名前も知られるし、ドカーンと来たわけじゃないですか。
村上 まさに『多動力』の通り、堀江はまずやってみるというスタイルだよね。僕も一緒だけど。あ、野球といえば、本に書いていない話を思い出した……。
※村上世彰×堀江貴文 初対談#2「僕らが“プロ野球”に目をつけたワケ」に続く
構成:川内イオ 撮影:榎本麻美/文藝春秋
むらかみ・よしあき/1959年大阪府生まれ。1983年から通産省などにおいて16年強、国家公務員として務める。1999年から2006年までM&Aコンサルティングを核とする「村上ファンド」を運営。現在、シンガポール在住の投資家。今年の6月には『生涯投資家』(文藝春秋)を出版。
ほりえ・たかふみ/1972年福岡県生まれ。実業家、株式会社ライブドア元代表取締役CEO、SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は、ロケットエンジンの開発を中心に、スマホアプリのプロデュース、有料メールマガジン配信、会員制コミュニケーションサロンの運営など、幅広く活躍。今年5月には『多動力』(NewsPicks Book)を出版。